平成21年度2次試験

2009年度中小企業診断士2次試験問題概観

全くの私感ですが、各問題をざっと眺めてみた解答の方向性、問題の求めているものなどを書いてみます。

事例1

事例企業は、老舗の菓子メーカーであるが、元々は和菓子専門であり、最近同様に老舗の洋菓子メーカーを買収したばかりです。

第1問に関係しますが、本体の和菓子は、2代目社長のマーケティング力などで拡大路線を取っており、洋菓子メーカーは技術力で評判が高いという違いが感じられます。ざっと、問題を見てみます。

第1問:
A社の強みをピックアップしてみます。

  • 原材料へのこだわり(軸)、社内外のネットワークを生かした取り組み、マーケティング力
  • (2代目社長のリーダーシップ)
  • 同様に、F社の強み:内部の菓子職人の技術力とその評判

この辺りを軸に違いを書きますが、後の問題でシナジー効果を狙うための視点として整理すべきでしょう。

第2問:
事例から考えられる点は以下のようなところではないでしょうか。

  • 同じ市内をターゲットとしている競合であったため。
  • 後継者問題等の経営の不安定さがあったため。
  • 地元での売り場等の重複
  • 和菓子・洋菓子という違う製品であることから、製造工程や原材料でのシナジー効果が低い
  • 大都市圏への拡大を目指している方向性に寄与しない

第3問:
ここは、事例のデータを利用しながら、推定することが必要だと思います。

  • A社は元々パートアルバイト比率が高い。
  • 単純に40名の人員整理をパートアルバイトで行ったとすると、F社は20名の整理、A社も20名の整理となり、A社従業員に不満が生じた。
    A社は、F社吸収の余波で自分たちの仲間が解雇されたと感じる可能性に注目してみました。

第4問:

  • 技術力の高いF社職人による変革を期待。
  • 和菓子と洋菓子のコラボによる新商品の開発を狙う。
  • F社従業員の動機づけ
    などを考えてみました。

第5問:

  • A社の持つマーケティング力・知名度をF社製品にも適応する。
  • インターネット販売にF社洋菓子を加え、ラインを拡大する。

*明確に回答する問いは無いようですが、A社・F社の強みを組み合わせて、それぞれの社員を動機づけしながら、新たな展開を目指す必要があります。そのポイントは第1問の回答だと考えます。

中小企業診断士問題文2009事例1

事例2

引き続き、事例2(販売マーケティングの事例)を概観してみます。詳細な解説は各受験指導校が公表していると思いますので、そちらで確認ください。
 
商店街にあるスポーツ用品店の事例ですが、立地も良く、多くの機会がちりばめられています。脅威は、郊外のショッピングセンター内の2店舗と少子化となると思います。

各問いに関係するキーワードを挙げてみました。

第1問:

  • 草チームなどのプロ志向でない品揃え(対プロ志向)
  • 高齢者向けの用品(対若者向けスポーツカジュアル)
  • 学校や団体向けの商品(SC内の競合にない資産)

第2問

  • フットサルを楽しむ大学生
  • ウォーキングやランニングを楽しむ特に高齢者

第3問
(設問1)

  • フットサルコートを運営(遊休土地利用)
  • 運営事務局を代行(草チームの支援で関係拡大)

(設問2)

  • ランナーやフットサルコート利用者向けのシャワー室や浴場の共同運営
  • 休憩や簡単な打合せができるスペースとしても利用

第4問

  • 情報発信:大会や町の情報
  • 交流の場:サークルの連絡等

中小企業診断士問題文2009事例2

事例3

事例を読んでまず気づくのは、営業のきめ細やかな対応に強みがあるのに、その営業が在庫管理までやっていることでしょう。営業は余裕を持って在庫管理をすることが考えられます。

また、過大な在庫といいながら欠品が起こっているのはなぜでしょう。生産計画は製造部門でやっていますが、販売予測について情報はタイムリーに入ってきていません。

見込み生産の生産ラインに受注生産を組み入れることで、より緻密な計画や管理が必要になる事例ですね。

ここでも、ポイントとなる部分をキーワードとして取りあげてみます。

第1問

  • ターゲットを明確にしている
  • 営業がきめ細やかな嗜好等の調査を行って商品開発に反映している
  • 単品ではなく、ライフスタイル全般の提案を行える小売店と組んでいる。

第2問
(設問1)

  • アイテムが多く絞り込みがなされていない。(過大)
  • 在庫管理が営業部門に任されているため、多めに予想している。(過大)
  • 販売予想の最新情報が無いため。(欠品)

(設問2)

  • 販売予測にこまめに対応できる最適なロットを適用する。できるだけ小ロットを目指す。
  • 塗装の色違いによるものは、組立工程までの仕掛かり在庫とし、注文状況に応じて塗装・仕上げを行う。

第3問
(設問1)

  • 営業の負荷がほとんど無い
  • 在庫を持つ必要がない

(設問2)

  • 見込み生産ラインと受注生産ラインの調整
    →生産計画を工程全体で調整できるようにする
  • 納期の正確な提示
    →生産スケジュールの見える化で標準工程を作成できるように
    →進捗管理

第4問

  • 見込み:販売予測と生産計画や在庫管理
  • 受注:進捗管理と余力管理

中小企業診断士問題文2009事例3

事例4

計算問題については、回答を載せるのは控えます。(受験指導校が明確に出すでしょうから)
 
事例4での最大のポイントは、第1問になると考えています。

計算問題は、求めるとおり出せばいいですが、その計算問題がなぜ出されたかは、第1問で取りあげた経営指標の原因に関していることがほとんどです。

では、今回の第1問は何を取りあげますか?

事例で考えられるのは、本社の土地・建物の売却問題、特に、老朽化した社屋がありますので、固定資産に注目しますね。

また、売却時のキャッシュフローに言及していますので、負債にも注目しましょう。

利益率をどこで取りあげるかが悩ましいところですが、事例文の最後に、管理業務のアウトソーシングにより、販売費及び一般管理費の削減が書かれています。

こう考えると、まず、予想できるのは、

  • 固定資産回転率
  • 負債比率
  • 売上高営業利益率

といったところでしょうか。

第1問では、原因を記入しますが、長所なのか短所なのかを端的に指摘することも必要だと思います。

中小企業診断士問題文2009事例4