2次試験突破に向けて

中小企業診断士が特殊で且つ難関であるのは、間違いなく2次の筆記にある。

簡単に言えば、中小企業診断士が経営診断を行い、その分析から改善提案を行う一連の作業を行うものである。

ただし、勝手に書かれても採点は出来ないため、設問文で条件を絞って、その中で対応できるかどうかを試されるというものだと考えられる。

科目主題試験時間配点
事例1「組織(人事を含む) を中心とした経営の戦略および管理に関する事例80 分100 点
事例2マーケティング・流通を中心とした経営の戦略および管理に関する事例80 分100 点
事例3生産・技術を中心とした経営の戦略および管理に関する事例80 分100 点
事例4財務・会計を中心とした経営の戦略および管理に関する事例80 分100 点

合否基準:筆記試験における総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満がないこと

ちなみに不合格者には、各事例の評価が通知される(合格者にはない)
  A:60%以上
  B:50%以上、60%未満
  C:40%以上、50%未満
  D:40%未満

初めて、2次を受験した私の平成18年度の評価は以下の通りだった。
  事例1:A
  事例2:B
  事例3:B
  事例4:D
  総得点:B

つまり、総得点は、200点~239点。事例4が「D」であるので、総合点が240点でも「×」であったという判定だ。

「2.独学で診断士を勝ち取る」でも、平成19年度合格時の模試の判定を載せている。

ちなみに、平成18年度の模試(3校受けた)は、捨ててしまっているが、ほとんどが「D」で1つか、2つくらい「B」があった程度であることを、再度、アピールしておく。

何度でも言うが、本番まで合否は全く判らないといのがこの試験の特徴である。

それでは、一か八かなのかということになってしまうわけだが、たぶん、安定して合格を勝ち取れる実力を持つ人はいるのだろう。

この2次試験で問われる方向性、戦略論などは基本的なものばかりなのは間違いない。

ところが、あとで考えればなるほど、と思うようなことでも、長文読解と時間配分に振り回されてしまうと言うのが実際のところだ。
 
たとえば、戦略論を問われるとしても、ポーターとアンゾフくらいしか明示的には問われないのだが、難しく考えて、切り口として出てこないことがある。。

見方を変えると「国語の読解力」と「作文力」を試されているというところが大きいとも言える。

さて、そんな国語の問題であれば、徹底して「読み」「書く」訓練が必要であることは判ってもらえるだろう。

もちろん、基本は何度でも「復習」であることも間違いないのでお忘れ無く。

1)時間の使い方・作り方

独学者において、この学習時間の創出と活用が最も重要となる。

特に、社会人として本業の傍ら学習する人にとっては、集中できるまとまった時間を継続的に作ることは至難の業であろう。

1次試験は、細切れの隙間時間でも十分だが、2次の筆記試験はそうはいかない。

  • まず、邪魔の入らない90分程度を確保する。
    →本試験は80分である。とにかく、80分で「読み、解き、書く」というペースを作らなければいけない。
  • 模範解答も本試験問題なら一つだけではなく、複数の模範解答を検討する時間を確保する。
    →きっちりと80分で書いた自分の解答について、模範解答と比較することになるが、同じことを書いているかどうかという視点で見る問題は少ない。全体を通した考え方を身につける必要がある。なぜ、模範解答のような考え方になるのかを考えることが必要だ。(つまり、検討の時間を取る必要がある)
     
  • 出来るなら「朝型」に変える。
    →夜の時間は仕事の関係で不安定である場合が多いと思う。また、仕事上飲みに行かなければいけないこともあるだろう。そのために、朝、必ず1事例を解答し、帰宅後答え合わせや検討を行うというスタイルの方が継続しやすいからである。
  • もちろん、夜型であり、つきあいもあまりないなら、自分のペースで問題はない。
  • 既婚者の方は、配偶者の協力が必要である。
    →家族との時間が取れなくなるため、ギクシャクしてしまうと精神的に参ってしまう。

【私の場合】

  • 朝5時に起きる。シャワーを浴び、目を覚ましたら、前日の夜に準備していた問題に取り組む。体調が悪ければ、キーワードの整理等として、とにかく、朝一に勉強することでモチベーションと弾みを作る。
  • 仕事中、暇になったら、たとえば財務指標の意味を思い出す。会社で自社の決算書を見たら、指標を計算してみる、言葉を忘れたらインターネットで検索する。
  • 昼休みは、朝書いた解答の見直しやキーワード集の確認のために1人になる。公園、近所の椅子、トイレ・・・
  • 夜は夕食の時間に合わせて事例問題を解く時間があるかどうかでやることを変える。
  • 寝る前に、明日やる予定の問題を解答用紙と共に印刷しておく。

 *週末(休日)が勝負である。

2)何をどう勉強するか

 

  • 基本は、本試験の過去問を徹底してやることである。
    →H13年度より、各4事例あるので、H21年度まで考えても36事例ある。これを80分で解く(解答を書く)。

自分の解答の作り方のスタイルを身につける意味でも、何度も本試験と同じ条件で答案を作ることに専念することが最も重要である。

  • 模範解答と同じ解答をすることは全く必要ない。それよりも、
    ・与件文にあるキーワードを把握して、解答に盛り込めたかという視点
    ・設問文に問われていることにきちんと答えているかという視点

で、自分の解答を見るべし。

  • できれば、合格者の再現答案も読んでみる。
    →模範解答と違った考え方をしていたり、全く解答になっていない答案を書いていても合格しているという実体を見ることで自分を信じるしかないと思える。また、合格レベルの人たちの「常識」を学ぶことも重要。
  • 事例4の財務会計の問題については計算問題をする必要がある。
    →過去問をやっていればお判りだが、とにかく、財務指標やキャッシュフロー、投資判断等計算をする問題が必ずある。
    電卓は大きめの12桁のものを準備し、使い方をマスターすること。特に、割引計算などは、メモリーキーの使い方に慣れておかないと単純な計算ミスや余計な時間をかけることになる。
  • 事例4に関してだけは、出来るだけ、個別問題も隙間時間を利用して、実際に電卓を叩き、解答を書く練習をすること。
    →判っているつもりでも、単位を間違ったり、小数点以下の処理を間違ったりしてしまう。自分が冒しやすいミスを知っておくことが必要だ。

【私の場合】
(モチベーション維持のため、必ず、寝る前に勉強時間や事例数を記録した)

H18年度受験:1次試験後(8月7日)から開始。
【総学習時間】:320時間
【解答事例数】:100事例 (本試験H13~H17の問題 各3回、模擬試験問題2回~3回)
H19年度受験:4月2次再受験を決意してから開始。
【総学習時間】:520時間
【解答事例数】:132事例 (本試験H13~H18の問題 各3回、2年分の模擬試験問題、雑誌企業診断の2次対策問題等)
その他:LECのWeb講座等(単発)を受ける。特に、財務会計については、考えられる範囲がそれほど広いわけではなく、過去問と同じような問題がでるため、受験指導校の「これだけは覚えておけ」というものは確実に解答できるようにしておくこと。

 

3)自分のやり方を決める

やり方とは具体的な受験スタイルである。

具体的にとは、

(1)筆記用具は何を使うか
(2)与件文(本文)から読むのか、設問文から読むのか
(3)メモはどこに、どんな風に書くのか
(4)下書きはどの程度をどこに書くのか
(5)それぞれにどのくらいの時間をかけ、解答用紙にはいつ書き出すのか

これらは実際の本試験レベルの問題を解く練習中に作り上げていくものだ。

しかし、受験対策関連の本や受験指導校でのアドバイスはあまりにいろいろ(違ったやり方の推奨)あるため、本試験間近になってこれらに接すると不安になり、スタイルを変えてしまいたくなる。

「本試験1ヶ月前になったらやり方を変えない」つもりで自分のスタイルを確立しよう。

本試験ではとにかくあせってしまうことが最大の敵だ。

余計なことを考えず、自分のやり方でやり通すことが重要であり、このやり方が一番いいというのは自分しか決められない。

これがやりやすいと決めたら、そのスタイルで解答を作ることだけに専念すること。

(1)筆記用具は何を使うか

解答を書くのは、シャープペンシルですか、鉛筆ですか。

はじめは鉛筆の方が柔らかく書きやすかったので、しばらく鉛筆を使った。シャーペンはすぐ芯が折れてしまうようで使いづらかった。

でも、やはり途中で字が太くなりすぎ、替えるのが億劫になりシャーペンに。

シャーペンは、いいものを使うべき。

家にあったのは、なぜか芯が折れやすく、気が削がれた。とにかく、指が疲れるので、何本か試しながらフィットするものを見つけるべし。

「マーカー・色ボールペン」

やり方の中で一番迷ったのがこれ。

最初に読んだ、「セオリー」では、マーカーを4から5色用意し、強み・弱み・機会・脅威と色分けせよと推奨されていたので購入。

→色を確認し、キャップを外すという手間が無駄に思える。マーカーはノック式もあるので使うならこれを探すべし。
ちなみに、ノック式は、Pentel ノック式蛍光ペン「Handy-lineS」というのがあった。

マーカーで塗ってしまうと間違ったときや逆に字が読みづらくなるなど自分としては最後には止めた。

つぎに、立ち読みで読んだ本には多色ボールペンを使うというのがあった。一本で4色のボールペンを購入。

→マーカーよりはいいかもしれないが、結局これも何色が強みだったっけ?となってしまい、止めた。

【私のやり方(最終)】

  • ドクターグリップのシャーペンとノック式の蛍光ペンを準備。
    S- WOT分析のキーと思われる部分に、「シャーペン」でアンダーライン。
  • その右余白に「強み」なら(S):Sに○、「弱み」なら(W)と記入するだけにした。ただし、経営者の思いや特にキーになると思う文章には蛍光ペンでアンダーラインという運用にした。

模試等で見ていると多色の蛍光ペンを使っている人が多いので、このやり方がダメだと言うつもりはない。

ただ、シャーペンだけでも十分だというのが私の感触だ。

要は、キーワードをあとで見たときに抜けが無いことが重要なのだ。

右余白のSやWを確認して、文章に戻ってもそれほど問題はなかった。

それより、慣れなのだろうが、いちいち色を変えるということが時間のロスになるような気がした。

[check]電卓は使いやすいものをはじめから購入し使い続けること。特に、キー配置を途中で変えると間違いの元。

私のH19年度本試験与件文への書き込み↓

与件文への書き込み例

私のH19年度本試験設問文への書き込み↓

設問文への書き込み例

(2)与件文(本文)から読むのか、設問文から読むのか

試験開始の合図があったら次に何をするか。

  • 解答用紙に受験番号を記入する。
  • 問題用紙の表紙をばらし、メモ用紙とする。
  • 解答文字数と与件文の分量をチェックする。

これからが、また、人によって違う。

  1. まず、設問文を読んで、何を問われているかを把握する。
  2. 与件文を読んで全体を把握する。

1.の「先に設問文を読んでから与件文を読む」、という指導をしているところが多いようだ。

自分も、まず、設問文を読んで、「直接SWOTを書かせる問題だな」とか、「最後にPOSが出ているということは、POSで解決する課題があるはずだ」などと見当をつけてから、与件文(本文)を読むようにした。

与件文が短いときにはどちらでもいいかもしれない。

ただ、H19年度の事例1のように与件文も長く、解答文字数も多いときには、先に設問文を読んで、問われていることを確認してから与件文に取り組んだ方がいいように思う。
 

これも、自分のスタイルを決めよう。

(3)メモはどこに、どんな風に書くのか
 
基本は、設問文に問われていることに対応してメモしていく方が抜けが無くなる。

ところが、書いているうちに余白が無くなり、どこからどこへつながるのか判らなくなるということもあり得るので、何度も自分でやってみてやり方を見つけよう。

【私の場合】

  • まず、問題文の表紙を外すことで、大きなメモ用紙が出来上がる。
  • 設問文の問われているところにアンダーラインと矢印を記入
    たとえば、「~対策を述べよ。また、理由も明らかにせよ。」となっていた場合、「対策」と「理由」にアンダーラインを引き、そこから→を余白に引いておく。その→の先に理由のキーワードを並べるという形にして、抜け防止。
  • 与件文で見つけたキーワードを上のような形で、まずは設問文に並べ、つぎに、大きなメモ用紙(問題文の表紙裏)に文章化してみる。(完全ではない)

(4)下書きはどの程度をどこに書くのか
 
合格者のやり方を見ていると、これも千差万別。

しっかり下書きをしてから清書をする人も結構いるようだ。

この辺は、回答内容の複雑さや時間との兼ね合いによるのではないだろうか。

下書きをしている余裕がある時と、全くない時もある。

【私の場合】

  • メモから下書きになることが多い。
    →つまり、表紙裏に(1)設問文のキーワード、(2)与件文のチェック等を交互に確認しながら、だいたいの下書きをしてみる。この時、時間があれば、何文字になるか数えてみることもあるが、ほとんどは感覚で、回答欄への記入は、全体を調整しながら行う。

(5)それぞれにどのくらいの時間をかけ、解答用紙にはいつ書き出すのか
 
さて、設問文の問うている内容をもれなく確認し、与件文のチェックからメモ・下書きと進むが、果たして解答用紙に清書するのはいつか。

強くお勧めする原則は、すべての設問文のメモ、または下書きが一通り出来て、全体像が見えてから書き出すことだ。

2次試験の練習を始めたときは、設問文を読んでは与件文を確認し、こんなものかと思えたら解答用紙に書き込んでいた。

ところが、次の設問やあとの方の設問に対する答えが関連していて矛盾してしまっていることに気づいたり、同じ内容の答えを書くことになってしまったりすることに気づくことが多いのだ。

設問は、解答の方向を絞り込むために作られているので、解答間の整合性や全体としての網羅性を加点項目としているかもしれないと予想できる。

→与件文のチェック後、各設問に対する解答の方向を決めたら、設問間の解答の関連をざっと確認する時間を取ること。
→重要と思えるキーワードが使われていなかったり、同じ内容の解答を書こうとしていたら、一度立ち止まって、見直す勇気が必要だ。

【私の場合】
[開始~1分] 

  • 解答用紙に受験番号等を書き込んだら、解答字数が多めか少なめかをざっと判断する
    →この感覚は、本試験問題レベルの練習で最終的に自分の基準を作っておき、多めだったら、何分前に書き出すか見当をつけられるようにしておくことが必須だ。
     
    [同上の範囲]
  • 問題用紙から表紙を切り離す。
    →何度も言うが、これは私のやり方だが、やって損はない。1年目と2年目の差が一番多かったのはこのやり方じゃないかとさえ思える。

[~5分位]

  • 与件文の第1パラグラフに目を通す。
  • 与件文の最後のパラグラフに目を通す。
  • 設問文を読む。解答すべきキーワードに印を付け、必要なら矢印を引いて忘れないようにしておく。
  • 出来れば(慣れてくれば)、何を問うているのか、設問間の関係を気にできれば完璧。

[5分~15分]*与件文が少なければ2回読んだ

  • 与件文を読む。
  • SWOTに関わるキーワードや文章は必ずチェック。あとでモレが無いようにに欄外にS・W・O・Tを明記。
  • 経営者の思いや従業員の声、顧客の声など重要な文章は蛍光ペンでマーク。
  • この企業のドメインを書き出す(誰に、何を、どのように)。もし、事業改革等なら、現在のドメインと今後のドメインを書いてみる。

[15分~30分]*この辺の時間配分は状況によって随分変わるが。

  • 設問を読み、問われていることを再確認。
  • 与件文に戻り、使えるキーワード、文章をチェック。設問にメモ。もしくは、表紙裏のメモに並べる。
  • だいたいこんなものと思えたら次の設問へ。同様に進める。(ただし、スッと判らない場合も次へ進む)
  • 一通り設問に対するキーワード等をチェックし終わる。

[30分~40分]

  • 設問間の関係や全体の流れをチェック。再度、ドメインとの整合性を見て、解答の方針を決定。
  • 文字数から余裕がありそうなら、ざっと下書きをしてみる。

[40分~70分]*短い解答が中心のときは、残り30分くらいまで全体の整合性や下書きをした

  • 設問文を再度確認しながら、解答用紙に書き出す。
  • (テクニック)100字を超える時や問われていることが複数あると、忘れないようにあらかじめ、だいたいの場所に書くことを薄く記入した。たとえば、課題をいくつか書いたあとに、対策を書く場合など、あせっていると対策を忘れることがある。120字だったら、だいたい60字目くらいに、薄く「対策は」と書いておいた。

[70分~80分]

  • 誤字・脱字。モレや重複をチェック。
  • 致命的なミスを見つけたとき、全部消して直すか、一部で何とかいけるかの判断を求められることも良くある。この経験を何度もしておいた方がいい。だから、時間は正確にチャレンジすることが大事。

*全体として絶対必要なこと

(1)「与件文を読んだら、その企業のドメインを必ず考え、どこか判りやすいところに書くこと」
ドメインは簡単でいいので、C(Custome:誰に)-F(Function:何を)-R(Resource:どのように)に対応する言葉を書いてみる。それが、この企業の全体像なので、回答を作るときに見直してみる。不整合を起こしていないか?

(2)「書き方に自分のスタイルを作ってしまう」

  • いろいろな指導の仕方があり、あちこちつまみ食いをすると判らなくなる。たとえば、1文字目は、必ず1マス空けると強く指導している学校もある。こればかりは、字数試験の常識として、未だに信じられない。
  • 強く進めるところが多い(反対意見もあるが)のが、解答することをオウム返しに必ず書き出すというもの。
    ex.
    Q.課題と対策を書け
    A.「課題は、~。対策は、~。」と書いていく。
    これは、採点者へのアピールということ以上に、自分で意識をはっきり持てるということでお勧めする。見直したときも、問われていることに確実に答えているかどうかのチェックがしやすい。

(3)これはあまり執着しない方がいいかもしれないが、「課題や弱みを解答に書いたら、必ず、その対策や改善方法を書かせているはずだ」

  • 課題とは、あるべき姿と現実のギャップであるので、診断の目的である。それを出させたということは、その対策をどこかで出させる設問がある。課題と対策が設問にあれば、ひとまずこの課題はOKと考える。
  • 弱みについてもわざわざ出させているなら、弱みを解消するか、弱みがあっても大丈夫である何かが出てくるはずだ。
    →私はこれで全体チェックをした。当然、機会や強みを書かせていれば、それらを利用するという解答の方向で使っているはずだ。

「つまり、SWOTや問題点、課題を書かせていたら、それぞれに対応する解答はどれかでチェックできる。何にも関係せず、ポツンと答えだけがあったら、何か変だと思ってもいいと、私は思う」

4)モチベーションを維持する

すべてはこれにかかっている。

最後まで必死になれるか、どうか。不安とあせり、時には自棄になる。これは絶対に超えなければいけないハードルなんだと思おう。

週末は10時間やろうと決めても、突然重い壁に押しつぶされるような感覚に見舞われ、何も手につかなくなることが絶対にあるんだ

だから、いかに気分転換を図るかも重要だ。

独学でやろうと決めたのには、強い意志があるはずだ。

絶対に合格してやる。合格しなければいけないんだ。

そのためにも、あと1事例、解いてみよう。キャッシュフローの計算をしてみよう、と一歩でも前進する推進力につながる。

でもだめなら、

2次試験の勉強は焦っても仕方ない。

時間をかけて継続するしか王道も近道もない。

どうしても集中できないなら、思い切って休もう。

一番は、十分な睡眠を取ることだ。
人は疲れがたまると効率が落ちるのだし、たぶん、無意識に身体が休めと言っているのだ。

それでもダメならいっそ温泉にでも行ってしまおう。まあ、温泉好きならではあるが。

【私の場合】

  • まず、合格した自分を想像する。実は、パソコンの真ん中、上の方に付箋ソフトで「中小企業診断士に合格して独立する」と書き込んで毎日・毎回目に焼き付けた。
  • 毎朝、神棚の水を取りかえ、手を合わせ、神頼みをした。「今日もがんばります。なにとぞ、合格させてください。合格のための気づきを与えてください」などと、本気で頼んだ。
  • 会社の関係者には内緒だったので、ブログで宣言し、毎日の学習の状況や記録(時間・事例数)を書き込んだ。また、社外で知り合った人たちやSNS仲間には公開し、飲み会も自分で主催した。

独学と言っても、すべて一人っきりでやらなければいけない苦行ではない。

少しでも、学ぶ楽しみ、人に分け与える楽しみにしていこう。

学んだことをすぐ仕事に結びつけたり、人に教えることで身にもつきやすくなる。

そうなんだ。独学者同士や指導校に通っている受験仲間をつくることは非常に有効だと思う。

私は、一緒に受けるという仲間を作ることは出来なかったが、興味を持っている人や単純に応援してくれる人がいたことが精神的な支えや時には息抜きをしてくれる相手になった。大きな力だ。

ブログを利用して受験生同士応援し合うのもいいかもしれない。

受験生同士が交流でき、ブログを紹介できる掲示板もあるので、気晴らし程度の時間に限定して参加することも要検討。

有名なコミュニティサイトとして診断士受験502教室などがあります。

ちなみに、私の週刊メルマガでも、時期に合わせて知識問題を出したり、受験の心得を載せたりしています。もし、興味がありましたら、登録してみてください。

→「居酒屋で学ぶ経営の知識」メールマガジンバックナンバーhttp://archive.mag2.com/0000265141/index.html

5)模擬試験の使い方

模擬試験は自宅でも受けられるので、在宅で一度解いてみるのも早い時期には必要だ。

つまり、自分がどの程度対応できるか、と同時に、ワンポイントと言ってもアドバイスが書いてあるのが役に立つ。

ただし、点数や順位がどんなに低くても気にすることはない。

良かったところはどこだったのか十分チェックしよう。

指導校によって、ウェブで解説を行ったり、DVDを送ってきたりする。

この解説で、覚えなければいけないテーマ等が出てくるので、これらをチェックするというつもりでもいいだろう。

受験指導校で受講している人たちにとっての常識的な知識や考え方を知ることも出来る。

私も、え?知らなかった。これって常識なんだ・・・と思ったことも多々あった。

独学でやっているということは、たとえば、出題者について研究している人、その教え子だった人などからの情報(当然問題についてなんて判らないが)や、一部で有名なエピソードなどに触れるチャンスが少ないため、謙虚に聞いてみよう。

ただし、踊らされないこと。

あの先生だからこんな考え方をしなければいけないとか、特別な著書を読まなければわからないような知識などは講師が自分のブランド価値を上げたいだけのたわごとだと切り捨てよう。

我々がしなければいけないことは、

  • 1次の基本的な知識の範囲で、
  • 設問文で問われていることに絞って、
  • 事例文で書かれていることを良く読んで答える
    だけである。

文章の書き方なども謙虚に確認すべし。

だいたい8月下旬から9月上旬にかけて、各受験指導校が会場模試を開催する。

これは少なくとも一つは受けることをお勧めする。

とにかく、本試験と同等の状況の中で解答を作っていくという訓練の再チェックである。

  • キーワードのチェックの仕方、メモの書き込み方、下書きの書き方など。
  • 机の上に筆記用具をどう配置するか。
  • 問題用紙から表紙を外すのにどの程度手間がかかるか。(人によっては定規を持ってきていて、それを当てて切り取っている。私は、ホチキス部を押さえながら、ピリッと破ってしまう)
  • トイレに行くタイミング。
  • 飲み物やチョコレートの取り方。
  • 昼、何をどのくらい食べるか。

とにかく、本気でやって、自分の課題を見つけに行こう。

また、受験指導校によるが、予想されるテーマとか、2次で使う1次知識集など最後のチェックに役立ちそうなものをくれたりするので、受けておいて損はない。

当然、時間的な制約で会場で受けられない人もいるだろう、その場合、必ず在宅での受験も出来るようになっているので、受けておいた方がいいだろう。

6)本試験について  

本試験は最後の仕上げだと思って、いつものやり方を淡々と繰り返す気持ちでいい。

ここまで来たら、焦っても仕方がないのだ。

受験した人のブログを見ていると、手が震えて文字が書けないとか、慌てて消したので解答用紙を破ってしまったとか、枚挙にいとまがない。

まあ、それも、必死でやってきた思いが強いせいだろうが、とにかく、当日は問われていることに答えるのだということだけを忘れず、問題がいつもと違うとか、人事・組織の問題なのに、マーケティング的な答えでいいのだろうかとか、試験の技術的なことに振り回されないことが、やっぱり大事だ。

独学でやってきた人は、試験テクニックを徹底してすり込まれていないので、そこを強みにしよう。

「設問文で問われていることに素直に答える」

あとは、これまでのやり方通り、ドメインを考え、この企業はこれからどういう方向へ進むべきなのか、という考えで、個別の回答をチェックする。

それだけでいいのだ。

試験内容以外で、私が気になったことは、参考に記す。

【トイレ】

東京会場は、H18、19共、明治大学のリバティタワーであるが、受験生の数が多いためトイレに注意すべし

ほぼ同時に終わるため、各教室からトイレに殺到し、結構な行列になる。圧倒的に男性の数が多いため、男性トイレは長蛇の列。女性は気にしていなかったがどうなのだろう。

試験終了の合図があってから、解答用紙の回収と数のチェックが終わるまで会場を出られないので、間が20分休憩でも開始ギリギリになると思った方がいい

→23年度の2次試験は、休憩時間が30分になったようです。

トイレが近い人は、焦らず騒がず並ぶしかない。

【昼食】

これは、気分転換も兼ねて、外へ出てもいいだろう。自分の場合は、女房に弁当を作ってもらった。これは、最近は会社にも弁当を持っていくため、いつもと同じ状況にするという意味で外へ出なかったということだ。

東京会場は、周りに店はありそうだが、時間の心配な方は、コンビニ弁当でもいいと思う。ただし、いつも食べないような変わったものは食べない方が無難だと思う。

【筆記用具】

念には念を入れ、シャーペンを使うなら、2~3本。芯は確実に確認し、念のため、芯を筆箱に入れておこう。

開始前に、芯の長さを確認し、なるべく試験中に新たに芯を出すというイライラする作業をしないように。そう言う意味で言えば、消しゴムも2個は机の上に出しておく。(筆箱は出しておいてはいけない)

【電卓】

私は、同じタイプの電卓を2つ机の上に出しておいた。

事例4以外で使うことは無いと思うが、おまじないだ。

事例4では、電卓がないと計算が出来ないので、事前確認しておくこと。最悪は、最近はコンビニでも電卓が売っていることがあるので、駆け込むしかない。

やはり、2台用意しておいた方がいいだろう。

【気分転換用】

頭が疲れるからチョコレートは持っていこうという指導が多いようだ。まあ、気分転換になるので、休憩時には、一粒口に放り込むのもいいだろう。空腹よけにもいいかもしれない。

まあ、これも模擬試験で試してみて、自分のスタイルを考えよう。

私は、一粒ずつ包んであるチョコレートと「リポビタンDスーパー」が定番だった。リポDは、大学の合宿時に飲んで元気になったという経験からの勝負時の常備ドリンクだ。

7)便利ツール・便利サイト

1次対策と変わらないが、一応、ここにも置いておく。

【便利サイト】

  • 受験指導校

[check] LEC:動画での単体講座が多いので、気になるテーマを申し込んだ。たとえば、財務の直前予想テーマなどは不安を取り除くのにいいだろう。
[check] TAC :正直言って、ここの指導法は癖があるように思う。それが、自信につながれば強いだろう。
[check] TBC :テキストのクイックマスター等の講師陣はここ。
[check] マンパワー :ここの2次試験合格者の声を集めた「80分の真実」は有名。結局読んでないけど・・・

  • 学習の参考に:用語集等

[check] ミツエーリンクスのWeb経営革新ツール用語集 :診断士用ではないが、マーケティングや生産の関連が豊富にある。
[check] イニシアコンサルティングの経営学講座 :これも毛色は違うが、企業経営理論の補完として。
[check] 経営用語集 :よく見ると会社名が判らないが、結構内容は充実
[check] Q&A  経営者のための財務管理 :公認会計士米井靖雄事務所となっているが、ホームページは休止中?でも、会社で仕事中に勉強するにはいいサイト。