1次試験突破に向けて

まずは何はともあれ1次試験を突破しないと先に進めない。

ところが、中小企業診断士は経営コンサルタントであり、総合的な知識を必要とするという理由から非常に幅の広い科目を受験し、最終的に平均点数が60点以上で40点未満の科目がないことが求められる。

18年度から科目合格制が導入されたので、一気に取らず、計画的に1次合格を目指す方法もできる。

また、初年度はとにかく徹底的にやって、できるだけ科目合格を取り、次年度に残りの科目と2次試験を並行して勉強するという指導をしているところもあるようだ。

ただし、「独学者は科目合格を狙わない」ことが重要と考える。

これには、前提条件がある。「経済学・経済政策」と「財務・会計」が得意で、60点は常に超えられる人は科目合格で積み上げていってもかまわない。

つまり、「経済学・経済政策」と「財務・会計」の難易度が高いと私が思うからだ。

「企業経営理論」等でも年によっては特殊な問題が多い事もある。

どちらにしても全科目で60点以上を取るということが、科目合格の原則である。

苦手科目が一つでもある人は、得意科目で補う方針で行かざるを得ない。

だから、総合で平均60点を狙うべきである。

もう一度、私の平成18年度の1次試験を見ていただきたい。

科目と自己採点平成18年
経済学・経済政策52
財務・会計61
企業経営理論56
運営管理72
経営法務49
経営情報システム80
中小企業経営他61
合計得点431
満点(得点%)700(62%)

運営管理と経営情報システムの得点で、経済や法務の落ち込みをカバーしているのが判ると思う。

私の1次試験の感覚としては、

  • 「経済学・経済政策」と「財務・会計」は特殊な問題が出ることが多く、通常のテキスト勉強では追いつかない場合がある。
  • 「運営管理」と「経営情報システム」は、テキスト勉強と過去問をやっておけば常識で解答できる問題が多い。
  • 「経営法務」も判りづらい長文問題が出ることあり、浮沈が激しい。
  • 他は、それなりの準備で何とか60点近くを維持することは可能。

というもので、平均で6割を狙った方が合格確率が高いと思えるのだ。

もう一つは、2年間は長いということである。

2年間1次試験を中心にしていると精神的にきついため、結果的に初年度科目合格となってしまった場合は仕方がないが、一発合格を目指すのが王道だ。

また、同様の考え方で、2年目の再挑戦でも、全科目受けて、総合計での合格を目指した方が可能性が高いと私は思う。

1)1次試験は選択式だから簡単?

 
1次試験は、マークシート方式で、一部選択肢が5つあるものもあるが、ほとんどが4者択一である。

通常、4者択一の試験というと、普通に勉強していても、二つくらいまでは絞り込めるため、2者択一レベルだと考えられる人が多いかもしれない。

確かにそんな問題もある。

ところが、これは出題者の好みなのかもしれないが、時折変則的な択一問題が出ることがあるのだ。

私が印象的だったのは、

「~以下の説明について、正しいものはいくつあるか。選択肢より選べ」

となっており、4つの文章が並んでいるが、選択肢は、正しいものの数を選ぶようになっているものだ。

つまり、

ア:0個、イ:1個、ウ:2個、エ:3個、オ:4個

となっている(>_<)
 
また、「経営法務」や「企業経営理論」では、企業の状況や経営者との会話の文章が結構長文であり、それらを把握して、設問文に答えるという2次試験もどきがあったりする。

これらは、非常に判りづらい状況になっていて、悩んでいるうちに時間が無くなるというくせ者問題だ。
 
つまり、1次試験は選択式だからと言って侮れないというごく当たり前だが、重要な結論に至る。

2)どう勉強するか

 
基本的に幅広い試験であるため、あまり1科目にかけられる時間は無いと思って良いだろう。そのつもりで、取り組んで欲しい。

過去問をやってみると、1)で言ったようなマニアックな問題テキストには出てこないような問題が出てきて面食らい、不安になる。そこが落とし穴である。

通常のテキストをやっていれば解ける問題が9割と思えば、そんなマニアックと思える問題は捨てる勇気が必要だ。エイやあで答えて、時間を取られないことである。

ゆえに、勉強は自分で選んだテキストと問題集に絞り込んであちこち手を出さないこと、が重要だ。

結果的に、本気になってから私がやったことは以下に集約される。

  • 全科目のテキストを勉強する。とにかく読んで、判らないところをマークし、キーワードをノートや単語帳のようなものに書き出す。
  • これらのノートや単語帳を常に携帯し、隙間時間を見つけては復習する。
  • 一通り学習したら、なるべく問題数の多い問題集を買い、これを徹底的にやる。これも、間違ったところや判らなかったところをノートや単語帳としてて、隙間時間を見つけて復習する。
  • この問題集をできれば3回繰り返し、確実な問題は飛ばし、間違った問題は、確実にできればほぼ合格は手中だと思って良い。(私は各科目100題の問題集を2回繰り返したところで時間が無くなり、後は2回ともできなかったところに絞ってやっていた)

注:全科目やるとは言っても強弱をつける必要がある。

余裕があれば、2次試験対策の解説を読んで、2次で必要な1次知識というようなまとめが入っているものが多いので、その辺は重点的に覚えることが必要。

特に、財務・会計は、2次の事例4に直接つながる。

  • 「中小企業白書」を見ておくべきか?

私が受けたH18年度でも、融資制度や促進事業について出題されていた。

これらは、前年度の白書等に載ってはいるのだが、白書自体の量が多い。

それより、中心的制度についてまとめてあるテキストで学習した方が効率的だと思う。

時間に余裕がある人は、2次の事例のベースになっていると思われるので、事例等を読むことは悪くない。

3)テキストの選び方

とは言っても、全般を網羅しているテキストは限られる。

近くの本屋で見たところでは2種類くらいに絞られるかもしれない。また、全巻そろっていない本屋も多いので注意が必要。

今は、Amazon.comで購入できるので、問題ないかもしれないが。

ちなみに、私は同友館のクイックマスターのテキストを利用した。

不満は、索引が貧弱なことだ。

これは、他のシリーズがいいかどうかは見て欲しいが、結局、勉強の過程ではしょっちゅう用語の意味を忘れてしまう。

このとき、どのテキストに書いてあったのかすら思い出せないときがある。

マーケティング(運用管理)だったか、経営理論だったか判らず、記憶を頼りに時間をかけてしまうことがある。

2次の勉強でも主要なテキストは参考書になるため、この用語索引がきちんとしていないところがマイナスだ。

もちろん、今はインターネット検索があるので、いくつかの関連サイトを押さえておけば問題ない。

サイトに無くても、検索サイトから「○○とは」と入れて検索すると、上位の数件を見るだけで解決するだろう。

問題集も解説がしっかりしているものを選ぼう。

4)便利ツール・便利サイト

1次試験の勉強をするに当たって、便利だったものを紹介する。

使うかどうかは、あなたのやり方にあうかどうかなので、真似をする必要はないが。

【便利ツール】

単語帳:これは皆さんもよく使うことでしょう。ただし、実は私は、一般的な単語帳は使わなかった。

私が使ったのは、ハガキサイズの白紙カードだった。

これは、内容によっては図を書いた方が判りやすかったりするので、小さなものより汎用性がある。ただ、1語だけで一枚だともったいない気がするが。

科目ごとに輪ゴムで止めただけで、輪ゴムを外して確認した。

試験当日も、休憩時間にはこれをざっと見て確認していた。

  • まる暗記ネットというサイトがあった:これは自分の経緯の中でも紹介している。電子的な多チャンネルの単語帳だったが、ページ更新に際し確認したところなくなってしまったようだ(T_T)。(2013/3/9)

同じデータを使って、パソコン・携帯・PDAとインターネット上とあらゆる場面で問題と解答の確認ができる。

パソコン等はそれぞれの機器にあわせたソフトを導入することになる。

また、サーバーへアップロードしておいて、ブラウザから同様の機能を使うこともできる。

その上、サーバーに置いておくと、毎日、ランダムに1題づつメールで問題が送られてくる。
解答は、アドレスクリックで確認OK。

これは、騙されたと思って使ってみてほしい。

どなたか同様のサイト・サービスをご存じでしたら是非教えてください

【便利サイト】

  • 受験指導校 LECのレッセフィール
    残念ながら、独学者にもやさしかった各種ダウンロードやコンテンツが終了していることを知りました。LECの方針転換が顧客を減らさなければ良いのですが(2009/12/20記)
     
  • 中小企業診断協会 ここは当然ですね。試験情報も解答もここ。
  • その他の受験指導校

[check] TAC :正直言って、ここの指導法は癖があるように思う。それが、自信につながれば強いだろう。
[check] TBC :テキストのクイックマスター等の講師陣はここ。
[check] マンパワー :ここの2次試験合格者の声を集めた「80分の真実」は有名。結局読んでないけど・・・

  • 学習の参考に:用語集等

[check] ミツエーリンクスのWeb経営革新ツール用語集 :診断士用ではないが、マーケティングや生産の関連が豊富にある。
[check] イニシアコンサルティングの経営学講座 :これも毛色は違うが、企業経営理論の補完として。(2016/3/6 古いアーカイブへ移行されているので更新されない点注意ください)
[check] 経営用語集 :よく見ると会社名が判らないが、結構内容は充実
[check] Q&A  経営者のための財務管理 :公認会計士米井靖雄事務所となっているが、ホームページは休止中?でも、会社で仕事中に勉強するにはいいサイト。