口述試験への対応
筆記試験合格おめでとうございます。
発表まで色々な思いに悩まされてきたかもしれませんね。合格発表を協会やホームページで確認した人も、やはり通知が来ないと気が気じゃないんですよね。
まあ、筆記試験が合格できても「合格」したわけではなく、「口述試験」を受ける権利を得ただけなので、最後の最後で落とし穴にはまらないように気をつけよう。
まあ、「口述試験で落ちることはない」と思って結構だとは思う。
普通に言葉のやり取りができれば問題はないと言われているのだ。
私の受けた19年度では、口述試験で不合格となったのは、「たった一人」だった。
過去には10数名不合格になった年もあるが、それ以降は、試験の方針は変わったようだ。
私の年の不合格の一人も、噂によると当日来なかったためであるという。
''''とは言っても、まったく準備をしないでいいかというとそうはいかない。
ある受験指導校の名物講師にこの10数人落ちたときの対象者がいた。
たまたま当日の話を聞いたのだが、筆記の事例について聞かれたとき、まったく内容を思い出せず、パニックに陥ったのが原因だと分析していた。
筆記試験の事例とそこで問われた問題・それに対する回答を一通り頭に入れておくことと当たり前の面接対応法を頭に入れておくことは、パニック予防のためにも必要だ。
1)当日までにやっておくこと
事例問題の内容が頭に入っている前提で質問されることと、口述試験ではメモ等を見ることは許されていないことに注意する。
つまり、一通り覚えておかないと質問にまったく答えられないという事態に陥る可能性がある。
(1)筆記試験の問題と解答を頭に入れる。
- 各事例を読んでおくのは当然として、できれば、一度書き写してみると意外な内容に気づいたりするかもしれない。
- 設問文と自分の回答も覚えておく。必ずしも正解を言う必要はない。自分の考え方の方が、当日も答えやすい。
- 回答に使ったり、問われた用語や公式は説明できるようにしておく。特に、事例4の経営指標や用語はあいまいなものは必ず自分なりに説明できるメモを作っておくこと。
(2)面接の基本を一応おさらいしておく。
- 入り口でのノックと「どうぞ」と言われてからドアを開く。
- 挨拶をして入室する。
- 「お座りください」と言われてから座る。
- ふんぞり返ったりせず、真っ直ぐ姿勢を正し、質問者に向く。
- 最後の挨拶を忘れず、お辞儀をしてから退室する。
常識だとは思うが、変なところで悪い印象を与えていいことはないので、自分がコンサルタントとして企業を訪問するつもりで対応するのが大原則だ。
顧客と初めて会うとき、あなたはどうするか。
そう考えれば、バカらしいと思わず、基本を振り返る必要を感ずると思う。
(3)体調管理と遅刻しない準備
確実に不合格となるのは行かないことだ。
たとえ遅刻であっても、それなりの理由や対応をすれば何とか救済してくれる可能性はある。諦めてはいけない。
ただし、体調万全で時間に余裕を持っていくことでリスクは最小限にすべきだろう。
2)当日の様子
口述試験は順番に行うため、当然ながら仲間とは時間がバラバラになる。
口述試験受験票の時間を間違いなく確認すること。
場所についても、できれば、前日に確認しておき、当日もめいっぱい早めに行って、近場の喫茶店等で時間を潰しておく方が良いだろう。
私は東京会場だったが、400人以上が受験したため受付に人が群がっている状態だった。
- 班番号によって待機する部屋と座る場所が指定される。
- 各班の呼び出しの担当者がおり、順番に確認をし、呼びに来てくれる。
- 呼び出し担当者が口述試験会場の前まで連れて行ってくれる。たぶん、前の人が入ると次の人を呼びに来るというタイミング。
- 前の人が終わって出てくると、呼び出し担当者が確認に行き、OKなら「ノックをして入ってください」と言われるので、そこからは自分で行く。
- ノックをし、「どうぞ」と言われてから、ドアを開け、入室。「よろしくお願いします」とお辞儀をすると、「持ち物を脇のテーブルの上に置いて、着席してください」と指示される。
- 部屋の奥側に3名の試験官が座っている。正面の椅子(すぐ目の前ではなく、2~3m離れている)に着席。
- 名前と生年月日を求められる。
- 試験官が順番に質問をし回答をする。質問はある程度事例の内容を話してから聞かれる。「~の事例では、 ○○であったが、なぜか」というような質問の形だった。
- 一通り質問と回答が終わるとお疲れ様でしたと終了を宣言されるので、荷物をもって、「ありがとうございました」と部屋を出る。
3)どう心構えを持つか
口述試験を受けたときの経験から心構えについて以下のように考えた。
- 試験官は敵ではない。ただ、自分の顧客であるという感覚で対応する。
- 筆記試験の事例の内容について質問がくるのだが、きちんと切り口を考えて・・・などとやってるとあせり出す。
自然に思いついたことを返すしかないと割り切る。
= 正解を求めているわけではないというのだから、ビジネストークで切り抜けるつもりでよい。私の場合も、明らかに「あなたはそう思うのですか?」と回答の訂正を求めるような言い方をされた。しかし、「そうです」と言い切ったことで気分は楽になった。 - 事例企業を支援するにはどうすればいいのかという根本的な考え方で対応する。
- 各企業のイメージを浮かべ、従業員の悲鳴や経営者の悩みを考えておくと、どんな質問があっても、自分の言葉で回答できるようになる。
- 質問の意図がよくわからないときは、素直に聞き返す。言葉を変えて説明してくれた。
- 用語の意味などを聞かれたとき、その言葉がわからないときは、「今思い出せない」とか「すいません。ど忘れしてしまいました」など、とにかく言葉を出す。黙ってはいけない。お客さんに質問された時、どうするかを考えれば、黙ってしまうという選択肢はない。
4)実際の質問例
19年度の口述試験で、私が聞かれた内容を参考に列挙する。
当日、終わってすぐにメモした内容なので、それほど違っていないと思う。
私の回答は、実際には単語だけではなく、説明をする感じで話しているが、さすがに覚えていないためキーワード中心とした。
質問の順番は、3人の試験官のうち、向かって右の人が、事例1について、前振りと2問の質問をし、同じ事例で左側の人から2問あった。次の事例(事例2)で、初めて中央の人が説明と質問をし、再度右側の人が追加の質問をした。
【事例1】について:多店舗展開しているインポート・ブランドのアクセサリー店の事例
*いきなり質問ではなく、事例1企業の簡単な前振りがある。(たぶん、思い出せるようにしてくれているのだろう)
[1人目]
質問1.社歴の長い従業員が、社歴の短い従業員より不満を感じている。なぜか?
(私の回答)
→社歴が長い従業員は契約社員が多い。社歴が短い従業員は正社員が多い。
実績が正当に評価されていないと感じている。
店舗が分散していて、提案等をなかなか聞いてもらえない。
質問2.では、これらを改善するためには、どのような施策をとればいいのか。
(私の回答)
→ジョブローテーションを提案する。特に、旗艦店である直営路面店を経験させることで、本社に意見が通りやすくなる等の効果がある。
[2人目]
質問3.この企業は、有名百貨店や大手ショッピングセンターなどでインストアショップとして店舗展開している。それはなぜか?
(私の回答)
→有名百貨店や大手ショッピングセンターのブランド力や集客力を利用できる。多くの来店客を期待でき、最小限のプロモーションで済む。
質問4.それでは、インストアショップ出店のコスト面ではどう考えるか?
(私の回答)
→テナント料が高いためコスト高であると考える。
質問5.なるほど。コストは高いと考えているんですね。(*たぶん、コストは低いという回答を期待していたのだろう)
(私の回答)
→そうです。(*思いっきり言い切った)
[3人目]
【事例2】について:建材・金物店から本格的なホームセンターとして単独店舗でがんばる事例
質問6.B社は従業員満足度が顧客満足度に影響するとしてインターナルマーケティングに力を入れているがそれはなぜですか?
(私の回答)
→インターナルマーケティングは、従業員の専門性の向上、技術やモチベーションの向上、接客技術の向上が期待でき、またそれを目的にしている。これらの技術の高い従業員が顧客に接することで顧客価値の増大や企業に対するイメージアップにつながる。インタラクティブマーケティングにつながる。
[*一問だけで最初の質問者(1人目)にバトンタッチ)]
質問7.ロードサイド近隣に大手の飲食店が出店してきています。B社はこれらの飲食店と連携することを考えています。どのような方策が考えられるか?
(私の回答)
→飲食店でのB社優待券配布、共通の会員カード、福引き等の共通のイベントで連携する。
質問8.なるほど。でも相手(飲食店)は大手なのですが乗ってきますか?
(私の回答)
→大手ではあるが、業態も商品も違い、B社への客も取り込めるため、よく話し合うことで乗ってくるはず。デメリットはない。
[終了]ちょうど10分間
5)受験指導校の使い方
実は、筆記試験の合格が確定してから、ネットを見ていると、口述試験をなめると痛い目に遭うというような論調が結構あった。
しだいに、心配になり、受験指導校を何社か見てみると、1000円程度で予行演習をしてくれるようだったので、日にちと時間のあったLECに申し込んだ。
不安があるなら、このような機会を利用した方が気が楽になる。
思いが強いほど、本番で緊張しすぎて、言葉が出なくなるかもしれないし、パニックになるかもしれない。
LECの予行演習は、結構緊張感を保持してやってくれ、また、その場で講評をしてくれるのでありがたかった。
6)最後に
口述試験は10分間という短時間であり、あの筆記試験を突破してきても、これだけで落とされるなどと言うことは許されることではないだろう。
ましてや、これに落ちると、再度1次試験から受ける羽目になる(私の場合)わけで、さすがに、試験執行側としてもこれで落とそうとは考えていないはず。
ただ、多くの人が言うように、中小企業診断士の資格を持っていても、現実にクライアントと話ができないような人もおり、一度はこのような緊張感の中で試す必要があるのかもしれない。
さあ、これで中小企業診断士の試験は合格だ。
後は実務補習を完了しないと本当の意味での診断士としての登録はされないのだが、まあ、それはそれとして、
「合格おめでとう」
どこかでつながりのできることを祈念して・・・\(^_^)/