居酒屋で経営知識

119.独学診断士1次対策

【主な登場人物】
ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている
黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み
由美:居酒屋みやびの元看板娘 黒沢の姪
雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した
大森:みやびの常連 地元商店街の役員
近藤:みやびの常連 建設会社顧問
亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト
原島:ジンの高校の大先輩。新社長としてジンにアドバイスを求めている。
新田:大森さんの紹介で知的資産経営を指導している。行政書士

「へい、いらっしゃい。ジンさん、毎度」

クション、ックション

「もしかして、ジンさん、花粉症ですか?」

「そうみたいです。突発的にクシャミ・鼻水がでてくるんで参ります」

「今年は花粉が多いみたいで、いきなり花粉症の人が増えたような気がしますね」

「春の気配が花粉症対策とは情けないですね。道行く人はマスクマンばかりで、うっかりすると知り合いとすれ違っても気がつかなかったりしますよ」

「ごもっとも。透明マスクを開発しないといけないですね」

 何となく落ち着いてきたので、生ビールを味わう。

「北野さん、お待ちしていました」

「あ、大山君。気がつかず、すいません。花粉症は注意力も散漫にしてしまいますよね。って、言い訳みたいですが」

「いえいえ、お気になさらず。今日は、断酒の前に、一杯飲んで、さらに北野先生の心構えも聞いてしまおうと欲張ってきてますので」

「お、いよいよ受験態勢ですか。そうですね、そろそろ本格化しないと時間が無くなりますね」

「そこで、大きな受験戦略についてですが、今は、課目合格制度があるので、2年かけて課目を絞った方がいいという指導が多いようなんです。課目はどんな振り分けにすべきでしょうか?」

「うーん。大山さん。これは私の持論なので参考に聞いてもらえればいいですが、独学で通すなら課目合格を狙うより、全体での一発合格を目指した方がいいと思うんです」

「そうなんですか!ちょっとそれが聞きたかったんです。確かに1次試験は科目数と範囲が多いですが、得手不得手があるので、課目合格を初めから狙っていくなら、どれに絞るかよく考えなければいけないと悩んでいたんです。でも、一発合格の方が、分かりやすいですね」

「課目合格のためには、それぞれの課目で60点以上を取ることが必要ですよね。でも、私の経験では、経済学・経済政策や経営法務、中小企業経営・中小企業政策あたりは、年によっては、結構難易度のブレが大きくて、専門家じゃないと非常に難しかったりします。他の課目でも、時々、え?というような難しい問題が続くこともあるんです。そんな時は、何とか40点を超えておけば、得意科目で70点、80点を稼いで全体で60%達成という方が確率的にも良いと思うんですよ」

「確かにそう考えると課目合格狙いでは得意科目で他の課目の点数を補うことができないんですね」

「それ以上に、1年目に絞った課目で落とした課目があると次の年にプレッシャーが大きくなりますよね。それより、結果的に課目合格になったので、次の年のチャレンジが楽になったと思った方がいいでしょう。それでも、特に得意科目は合格科目でも、再受験して全体合格への上積みにした方がいいと思うんです。得意・不得意の状況にもよりますがね」

「すっきりしました。やはり、今年の一発合格を目指します。そこで、もう少しお願いしたいんですが、1次試験の勉強スタイルは北野さんの場合はどうされたんですか。私も、会社勤めですので、特に時間の使い方が難しいと思っています」

「そうですね。1次試験は知識問題が多いので、隙間時間を最大限利用しました。早起きして朝食前とか、トイレに覚えることを張り出したり、通勤時間は最大限利用ですね。後は、昼休みや出張時の移動中は、一番の勉強時間だったかもしれません。大山さんのように、夜の飲み会は極力避けて自宅学習にしましたが、気分転換に図書館に寄ったりしたこともありました」

「なるほど。その時間を使ってテキストを読むと言うことですね」

「最初は、ざっと読む必要はありますけど、それだと時間が足りなくなります。早い段階で、重要点を単語帳のようなモノとして作ったり、過去問に取り組むようにした方が良いですよ」

「確かに、あのテキスト量を見ただけでうんざりしますよね。そうですか。過去問にも早めに取り組んだ方がいいんですね」

「そうです。出題の雰囲気や傾向もわかってくるかもしれませんよ。少なくても、どんな形式や量がでるのか把握しておけば、時間配分や解き方で迷うことがなくなります」

「大体方向性はつかめました。ありがとうございます。それでは、当面の断酒態勢に向けて、日本酒いきたいですが、何かお薦めはありますか?」

「ここは大将の出番でしょう」

「そうですね。こんな時期ですから東北の酒蔵のモノを多く仕入れているんですが、弘前の豊杯なんかいかがですか?縁起のいい名前だし、ふくらみのあるいい味を出してますよ」

「いいですね。それじゃあ、豊杯をお願いします」

 大山君の決戦の火ぶたは落とされた。豊杯で乾杯し、これからの戦いに向け、更に相談をすることになっった。

「それじゃあ、大山君の合格を祈念し、かんぱーい!」

(続く)


《1Point》
 独学で取る中小企業診断士についての内容は、私のホームペー
ジの内容から作っていますので、興味のある方は読んでみてくだ
さい。

http://bit.ly/gKGE0x

今回のメルマガ執筆に当たってざっと受験指導校のサイトを確認しました。LECのサイトで過去問ダウンロードがまとめてあったのでリンクを置いておきます。

H13年からの1次、2次の問題・解答用紙がPDFでダウンロードできますので、まとめてダウンロードしておくと良いと思います。

http://bit.ly/h0kYQW