居酒屋で経営知識
118.独学の向き不向き
【主な登場人物】 ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている 黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み 由美:居酒屋みやびの元看板娘 黒沢の姪 雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した 大森:みやびの常連 地元商店街の役員 近藤:みやびの常連 建設会社顧問 亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト 原島:ジンの高校の大先輩。新社長としてジンにアドバイスを求めている。 新田:大森さんの紹介で知的資産経営を指導している。行政書士
「へい、いらっしゃい。ジンさん、毎度」
「いらっしゃいませ。ジンさん、いつもの席へどうぞ」
「あれ?由美ちゃん復活?」
「へへ。すごく久しぶりよね。亜海ちゃんが就活で休むって言うので手伝いに入ったの」
「そうだね。亜海ちゃんもなかなかアルバイトが難しいかもね」
「うちも本格的に採用活動始めましたよ。正社員とアルバイトの2人体制にすることにしました」
「思い切りましたね。いい人が来ればいいですね」
みやびは、俺が来るようになった時は由美ちゃんが正社員待遇で手伝ってきたが、今の会社に就職後、亜海ちゃんが毎日アルバイトとしてやってきている。
「あ、今日は久しぶりに生ビールにするよ」
「ちょっとは暖かくなってきましたからね」
「はい、ジンさん、どうぞ」
「懐かしいなあ。いただきます」
「そういえば、大山商店の潔さんが中小企業診断士受けるんですって?」
「あれ、由美ちゃん知ってるの?」
「時々商店街のイベントで一緒になったの。同い年だったから覚えているの」
「へえー。それじゃあ、由美ちゃんにも手伝ってもらおうかな」
「もちろん。やっぱり、受験講座やるのね」
「原島さんからも頼まれたんだ。昨年、会社の費用で受験指導校に入学させたけど、うまく時間が合わなくてほとんど行けなかった人が何人かいて、独学でやりたいって言ってるらしいんだ。ちょうどいいので、月に数回ペースで集まって、お互いに刺激し合う形にしようと思ってるんだ」
「是非やりたいわ。去年は受験対策ばかりで、深く考える余裕がなかったので、じっくり復習したかったの。人に教えると思えば、しっかり勉強できそうだし」
「さすが、勉強熱心な由美ちゃんだ。これで現実的になった」
「やったー。でも、みんな独学でやろうってするのがすごいわね。でも、独学をするのは、向き不向きがあるのかしら」
「そりゃ、合格したいという思いが強ければ、どんなやり方でも良いとは思うけど、やっぱり向いている人というのはいるだろうね」
「例えばどんな人なら独学に向いているのかしら」
「そうだね。まずは、これまでの学校などでの勉強のやり方を考えるといいかもしれないな。先生などの人の話を聞くことが得意で、読むことが苦手な人は学校向きで、独学向きではないかもしれない。でも自分の行動をスケジューリングして、その通り進めるのが得意な人なら、独学に向いているね」
「そうね。毎日時間を捻出してきちんとやらないと、何も出来ないまま、あっという間に試験当日になってしまう感じよね」
「そのためにも気分転換がうまいと言うことも必要かもしれないね。学生じゃないから、空き時間をうまく勉強に当てていかないとなかなか進まないけど、逆に、自分を追い込みすぎると力尽きてしまうことにもなりかねないからね。俺も、受験勉強中にふとやる気を失ってしまって、焦りから絶望感や虚無感のようなものが押し寄せて来たことがあったんだ」
「へえー。ジンさんでもそんなことがあるんだ」
「そりゃそうさ。誰でもあり得ると思うよ。そんなとき、さっと気分転換をはかれるなら、長期戦でも大丈夫だね」
「ジンさんの気分転換ってどんなことをしたの?」
「自分の場合は、ランニングやウェイトトレーニングで徹底的に身体を苛めたりしたね。そうすると、ランナーズハイなどで落ち込んだ自分を忘れてしまえるんだ」
「ジンさんだったらそうね。でも、走れなくても散歩をしたり、いっそ寝てしまったらいいのかもね」
「そうだね。自分のやり方を見つけられれば良いと思うよ」
「それでも改めて合格率を見ると厳しい試験よね」
「1次・2次合わせると4%から5%程度の合格率になってしまうからね。でも、きっと、本気で取ろうと思っている人の中で5%程度ではないと思うよ。合格できなくても仕方がないと思っている人もいるし、自己啓発や会社の方針で受けている人もいるからね。絶対に合格しなければいけないと思っている人で考えれば、もっと合格率は高いはずだよ」
「もちろんそうよね。私の知っている人たちは、死に物狂いっていう言葉がそのままだったわ。それを見て、私も半端な1日を送れなかったのね」
「逆に言うとね、なぜ、中小企業診断士の資格を取りたいのかを明確にして、絶対に次の試験で合格してやるという強い意志がなければ自己啓発の範疇に入ってしまうということだね」
「やっぱり厳しい試験ね」
「だから燃え上がるような強い意志が必要なんだ。それがあれば、独学でも何でも大丈夫さ」
(続く)
《1Point》
「あなたはなぜ、中小企業診断士の資格を取りたいと思ったのですか?」
独学で取る中小企業診断士についての内容は、私のホームページの内容から作っていますので、興味のある方は読んでみてください。
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