居酒屋で経営知識

46.診断士試験・2次対策(5)事例2

【主な登場人物】
ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている
黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み
由美:居酒屋みやびの元 看板娘 黒沢の姪
雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した
大森:みやびの常連 地元商店街の役員
近藤:みやびの常連 建設会社顧問
亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト
原島:ジンの高校の大先輩。新社長としてジンにアドバイスを求めている。

 雄二も合流し、みやびでの診断士受験のスタートアップに入った。

「事例2は、マーケティングや流通の事例と言われているのね」

「そうだね。事例企業も多岐にわたるけど、婦人服の製造販売、高級輸入食材卸売、愛犬用品ショップ、美容院、煎餅製造卸、テニススクール、温泉旅館、ホームセンター、スポーツ用品、食品スーパーなどだったな。あ、過去問の記憶だけど」

「すごーい、ジンさん。覚えているの」

「まあ、若干曖昧だけど、古い過去問は10回以上取り組んだことになるからね。もしかすると20回以上かも」

「そのくらいやらないといけないってことなのね」

「まあ、回数が多いからいいって訳じゃないけど、最後は過去問だと思うんだ。市販の問題集や受験指導校の模擬試験などに取り組むことも重要だけど、やっぱり微妙に違うような気もするんだ。特に、模擬試験は自信を持って模範解答が出されてしまうから、逆に変な癖が付くかもしれないとさえ思うんだ」

「おいおい。受験指導校で教えて貰った方がいいって言ってたくせになんだそりゃ」

「いや、受験指導校で指導を受けることは大事だよ。ただ、心配なのは、試験をつくるのが指導している講師たちだよね。そうすると、採点も彼らが普段教えているポイントに多く点数をつける可能性があると思ってるんだ」

「それが、本試験と違っているというのか」

「うーん。何とも言えないのがこの試験の特徴かもしれない。俺が、2次に合格した年にも複数の学校の模擬試験を確か6つくらい受けたんだ。ところが、ほとんどが30点とか良くて40点くらい。受験者の点数一覧が出るんだけど、トップは80点くらい取っているし、自分は下位20%くらいにいたから、絶対に合格圏内はない。でも、その1年前の不合格になった2次は、不合格者に送られてくる成績表だと4つのうち1つは60点以上で、2つが50点以上だった。次の年、模擬試験では軒並み完全不合格だった年に本試験合格しているんだ」

「それじゃあ、受験指導校の指導通りにしても合格しないかもしれないってことね」

「まあ、そう言ってしまっては身もふたもないけど、少なくても安心はできないってことなんだ。だから、過去問のように、多くの解答があるものでやってみる方がいいと思う」

「まあ、わかったようなわからんようなジンの説明だが、そのチェックリストを見せてくれ」


【2次試験当日チェック】

【マーケティング・流通の事例チェック】

「1人の顧客が持つ2つのニーズをいかに融合させるかを考え、多様な顧客ニーズに対応する」

・顧客のニーズを取り込んで新しい独自の商品・サービスを提供する
・顧客生涯価値の向上、顧客シェア、ワントゥワンマーケティング
・小売にメーカー的要素を取り込むことで競争優位を確保する

『フルフィルメント』マーケティングミックス 特に通信販売やEC販売において、商品の発注から決済、ピッキング、配送までのトータル業務のことを指して言うことが多い。

『コトラーの三層モデル』:中核・実体・付随

『EOS(Electronic Ordering System)の効果』
・在庫管理システムとの連結:欠品防止・安全在庫の水準を下げる
・物流システムとの連結:出荷明細等の省力化・トータル時間短縮・検品作業の省力化
・請求・支払いシステムとの連結:仕入れ研修の合理化・仕入れデータから債権・債務データへの変換

『ECR(Efficient Consumer Response)』は「Electronic」ではないことに注意→製造段階から流通、販売に至るプロセス全体にわたる効率化で消費者ニーズに対応する概念やシステムのこと。

『サービスの特性』
1)無形性
2)同時性(生産と消費)
3)異質性
4)消滅性
5)需要の変動制
6)不可逆性
7)労働集約性・・・

*ブランドの機能:①保証機能、②差別化機能、③想起機能

*計画購買(プル戦略:ちらし、DM、TV、WEB)と非計画購買(プッシュ戦略:インストアプロモーション、エンド陳列、POP、サンプル)

*最寄り品、買い回り品、専門品

*インターナルプロモーション:①従業員に対する能力開発、②従業員への動機づけ、③業務のマニュアル化、標準化

*GMROI(純売上高で分解)=粗利益率×商品回転率(原価での平均在庫ベース)

 交差主義比率(平均在庫高は売価)=粗利益/平均在庫高(売価)

 相乗積=売上構成比×粗利益率


「いろいろゴチャゴチャ書いてあるけど、これを見ただけで内容がわからないといけないってことだろうな」

「雄二の言うとおり。一番上にあるように、まずは、顧客の声がどこかにある場合が多いので、そこを見落とさないことだな。場合によっては、経営者の言葉として語られることもあるかもしれないけど、ほとんどニーズが一つじゃないんだ。それをどう分けて考えられるかというところかな」

「切り口ってことね」

「そう。ここには書いてないけれど、プロモーション戦略という切り口が必要になることも多かったような記憶がある」

「プロモーション戦略っていうと、広告・販売促進・人的販売・パブリシティ・口コミで良かった?」

「OKだよ。場合によっては、もう一つ上位に戻って4Pで見直すこともあるかもね。製品・価格・流通・プロモーションだね」

「次々に出てくるなあ。マッカーシーの4Pくらいなら俺でもわかるがな」

「おや、由美ちゃんへのライバル意識が表に出てきたか」

「バカ言うな。俺は、由美には勝てん。後は、経営者としての実績で勝負だ」

「鳶野さん、じゃあ、勝負ね」

「ああ、いいとも。ただ、俺が合格したら、俺の夢を一つ叶えてくれるか」

「ええ?勝負なのに。私だけが合格したら、何をくれるのかによるわね」

「もちろん、そうだな。婚約指輪くらい出してやってもいいぞ」

「え?誰との。まさか、鳶野さんじゃないわよね」

「バカ言え。だから俺の夢だって言ってるじゃないか。合格まで内緒だ」

「ふーん。でも、私がいやがるようなことはないんでしょうね」

「あるわけないさ。それは俺が一番よく知っている」

「何なんだ。俺、日本酒にするぞ」

「あ、俺も」

(続く)


《1Point》
・中小企業診断士2次試験(筆記試験)

 事例2は割と身近な企業が事例になるため、取り組みやすいと言われます。
 
 ただ、それと点数が繋がっているかはわかりません。
 
 顧客との接点が近い企業が多いため、逆に視点が絞りづらいかもしれません。経営者の思いは忘れてはいけませんが、顧客のニーズやニーズの取り入れ方などの視点が解答に繋がることが多いように感じます。
 
 自分の利用してそうな店などで、勝手に自分のイメージで答えないように気をつけましょう。