経営者の条件

(3)経営者の条件
  知識の時代においては一人ひとりがエグゼクティブである
    序 章:成果をあげるには
    第1章:成果をあげる能力は修得できる
    第2章:汝の時間を知れ
    第3章:どのような貢献ができるか
    第4章:人の強みを生かす
    第5章:最も重要なことに集中せよ
    第6章:意志決定とは何か
    第7章:成果をあげる意志決定とは
    終 章:成果をあげる能力を修得せよ
ドラッカーの言葉該当ページと独り言
八つの習慣
 (1)なされるべきことを考える
 (2)組織のことを考える
 (3)アクションプランをつくる
 (4)意志決定を行う
 (5)コミュニケーションを行う
 (6)機会に焦点を合わせる
 (7)会議の生産性をあげる
 (8)「私は」でなく「われわれ」を考える
P2
ドラッカーが65年間のコンサルタント人生で出会ったCEOは千差万別で必ずしもリーダータイプでもなかったという。
成果をあげることを考えていた。そのためには、これらを習慣化していたと言い切っている。
成果をあげるために身につけるべき第二の習慣、第一のものに劣らず大切な習慣が、組織にとってよいことは何かを考えることである。株主、従業員、役員のためによいことは何かを考えるのではない。P4
企業という組織にとっては、潜在顧客を含めた、社会への責任がある。
自分ではコントロールできない4つの現実
 第一の現実は、時間がすべて他人にとられてしまうことである。
 第二に、日常業務に取り囲まれていることがある。
 第三の現実が、組織で働いていることである。
 そして最後に、組織の内なる世界にいるという現実がある。
P28~31抜粋
だれもが実感していることであろう。
成果をあげにくくしている第三の現実が、組織で働いていることである。
 すなわちほかの者が彼の貢献を利用してくれるときにのみ、成果をあげることができるという現実がある。組織は一人ひとりの人の強みを発揮させるための仕組みである。組織は一人ひとりの人の知識を、ほかの人の資源や動機やビジョンとして使う。
P30
組織は個々の成果を継続して組織としての前進を図る。(前進・継続・サポート・プレッシャーだ!)
・特に重要なこととして、組織の中に成果は存在しない。すべての成果は外にある。
・組織の中に生じるものは努力とコストだけである。
・しかも地位が上がるほど、外部の出来事よりも内部の問題に注意が向く。
P31・32・33抜粋
成果は市場に、顧客にある。そして、対価である利益も外から頂くんだ。
外の世界における真に重要なことは趨勢ではない。趨勢の変化である。この外の変化が組織とその努力の成功と失敗を決定する。P36
趨勢の変化という点がなかなかわからない。定量化ではなく、知覚するもの。
成果をあげるために身につけておくべき習慣的な能力は5つある。
 (1)何に自分の時間がとられているかを知ることである。
 (2)外の世界に対する貢献に焦点を合わせることである。
 (3)強みを基盤にすることである。
 (4)優れた仕事が際立った成果をあげる領域に力を集中することである。
 (5)成果をあげるよう意志決定を行うことである。
P43
成果をあげるには人並みの能力があればいい。この習慣を実践することだという。
私の観察では、成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする。P46
やってみるとなるほどと思えてきた。時間を見て、それから計画を落とし込んでいく。
成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えなければならない。手元の仕事から顔を上げ目標に目を向ける。組織の成果に影響を与える貢献は何かを問う。そして責任を中心に据える。P78
貢献に焦点を合わせるということを本当に考えているか。見えているか。
なすべき貢献には、いくつかの種類がある。あらゆる組織が3つの領域における成果を必要とする。すなわち、直接の成果、価値への取り組み、人材の育成である。P81
人材の育成がなすべき貢献であると特に経営者は考えねばならない。
優れた人事は人の強みを生かす。弱みからは何も生まれない。結果を生むには利用できるかぎりの強み、すなわち同僚の強み、上司の強み、自らの強みを動員しなければならない。強みこそが機会である。強みを生かすことは組織に特有の機能である。P102
チーム力ここにあり。強みを組み合わせることでチームは作られる。
弱みに配慮して人事を行えば、うまくいったところで平凡な組織に終わる。P103
見えやすいのは弱みである。強みだけを見て人事をすることを徹底してみたらどうなるだろうか。
人に成果を上げさせるには、「自分とうまくいっているか」を考えてはならない。「いかなる貢献ができるか」を問わなければならない。「何ができないか」を考えてもならない。「何を非常によくできるか」を考えなければならない。P105
これができない。上司は、部下をこう見てはいないか。
人は組織のおかげで、強みだけを生かし弱みを意味のないものにできる。P107
組織(チーム)が大きな力を出すのはこの複合力にある。人は、ひとりでは弱みを引きずらざるを得ない。
人間性と真摯さは、それ自体では何事もなしえない。しかしそれらがなければ、ほかのあらゆるものを破壊する。したがって、人間性と真摯さに関わる欠陥は、単に仕事上の能力や強みに対する制約であるにとどまらず、それ自体が人を失格にするという唯一の弱みである。P120~121
真摯さが最も重要と説いているようだ。
厳密にいえば、あらゆる問題が、二つではなく四つの種類に分類できる。
 第一に、基本的な問題の兆候にすぎない問題がある。仕事の中で起こってくる問題のほとんどがこの種のものである。
 第二に、当事者にとっては例外的だが実際には基本的、一般的な問題がある。
 第三に、真に例外的で特殊な問題がある。
 第四に、そのような何か新しい種類の基本的、一般的な問題の最初の表れとしての問題がある。
真に例外的な問題を除き、あらゆるケースが基本の理解に基づく解決策を必要とする。
P166~168抜粋
事実、決定の実行が具体的な手段として誰か特定の人の仕事と責任になるまでは、いかなる決定も行われていないに等しい。それまでは意図があるだけである。
 これこそ、企業の経営方針の決定によく見られる状況である。すなわち、経営方針の多くには行動のための措置が何も盛り込まれていない。その実行が誰の仕事にも誰の責任にもなっていない。そのためそれらの経営方針は、トップがまったく行う気のないお題目と見られている。
P182
うちの経営方針が理解できない。本当にそう思っている。
意見の不一致は、三つの理由から必要である。
 第一に、組織の囚人になることを防ぐからである。
 第二に、選択肢を与えるからである。
 第三は、想像力を刺激するからである。
P200 ~202
全会一致は疑ってかかれ。
しかし、現実は、対立を回避するための根回しが当たり前になり、トップの言葉で全員一致となっている。
最後に、意志決定は本当に必要かを自問する必要がある。何も決定しないという代替案が常に存在する。P205
何も決定しないことを決定するというのは結構難しい。