ラグビー型経営論(ラグビースタイルマネジメント)
草稿的全体像
2008/11/18 所属するドラッカー学会のマネジメント研究会で「ラグビースタイルマネジメント」を初披露しました。A4一枚のレジュメと10分間の発表にするため、我ながら凝縮して作成しました。スタートラインとしての草稿として手元資料のメモを含めて公開いたします。(発表レジュメ:黒、手元メモ:赤)
ドラッカー「マネジメント研究会」第6回
2008/11/18
最強のチームのための「ラグビースタイルマネジメント」
問題意識
【自分が経験した営業】:お上(許認可官庁、公共事業の発注官庁)依存型または形式主義、民間であっても、接待贈答の癒着仲良しグループ主義の社会システム←営業マン=専門職人型、情報や成果の囲い込みが個人の強みで組織と分離
【時代の変化】:(バブル崩壊後)情報社会の急速な展開と家族的企業衰退による内部告発が増えた+独占禁止法改正(公正取引委員会の権限強化)→コンプライアンス→責任回避経営(法務や弁護士)もしくは、変えない経営
【今後】:お上頼り・稟議書責任分散型では対応できない。地に足をつけたスピード経営が求められている。まさに、近江商人の三方良しの経営に立ち戻るとき(食品関連の偽装事件)「売り手よし、買い手よし、世間よし」
1.最強のチームとは
ドラッカー「ポスト資本主義社会」P108~112(エターナル版)*ラグビー型は私論
(1)野球型 | (2)サッカー型 | (3)テニスのダブルス型 | ラグビー型 | |
---|---|---|---|---|
ポジション | 固定・専門 | 固定・柔軟 | 非固定的・優先ポジション | 流動的・優先ポジション |
相互サポート | 限定的 | 分担的・相互調整 | 強みと弱みの相互補完 | 常時サポート(All for One) |
情報 | 状況から得る | 監督・コーチから | 他のメンバーから | 他のメンバーから得る |
特色 | 反復性の高い業務に有効 | チームとしての楽譜必要 | 規模が小さく、補完によって機能する | 規模が大でも機能する |
テニスのダブルス型:7人~9人までの規模、すぐ見える範囲?
ラグビー型のポジション:自分がどこにいるかで役割が変化する
*ドラッカーは、ダブルス型を最強と断言している。私は、ラグビー型こそ究極の組織であると考える。
2.ラグビー型とは
【ミッション経営である】
全員が徹底した自己規律の下で組織の成果に貢献するためには明確なミッション(共通目的)が必要である。
- その上で、組織原理に基づくマネジメントを行うことで、ミッションに照らしたビジョン達成への真摯な努力に報いることが可能となる。
- ミッションが明確であることが、組織の成果にフォーカスし、貢献するための内発的動機づけとなる。(→「One for All」)
【組織原理によるマネジメントを行う】→ラグビースタイルマネジメント
組織としての成果を生み出すためには、ラグビー型の組織原理に則したマネジメントを行う必要がある。
1.ラグビーの原理とは
1)組織としての前進 2)全員サポート 3)継続 4)プレッシャー
2.ラグビーの原理を元にしたマネジメントの方向性
1)前進
組織としての成果を生み出すためには、最終的にチーム全体の「前進」につながることが必要である。優先ポジションはあるものの、流動的に他のメンバーから得られる情報を自分で判断しながら対応していくスタイルである。
・他のメンバーから必要な情報が必要なタイミングで入手・活用できるコミュニケーションシステム
・リーダーやメンバーを個々の強みに応じ、かつ、チーム目標によって柔軟に編成できる柔軟な人事制度や明確な権限と責任の存在(権限移譲・共通認識)
・チームとしての前進を評価できる明確なマイルストーンとお互いの評価制度(貢献意欲)
2)サポート
情報は伝達によって変容してしまう。自分の成果が他へ伝達されたときからが徹底的なサポートを行う必要がある。
チームメンバー(機能部門)が前進と考える活動が、顧客ニーズの本質からずれ始めていないか常に全員で確認することも重要なサポートである。(→「All for One」)
・実際に対応している部門・メンバーは誰か。何を、どのように行っているか、全メンバーが確認できるサポートのためのコミュニケーションシステム
・すべてのメンバーが対等に他部門の決定事項を修正できるフラットな組織
・サポート行為を積極的に評価する仕組み
3)継続
すべての活動は本来の業務継続と成果から得られた知識の継続(継承)が次の前進にとって重要である。
PDCA サイクルのように上昇気流に乗る継続サイクルと共に、ナレッジの共有と継承および醸造の継続が組織を活性化する。
・継続をスムーズに伝搬させるためのコミュニケーションシステムにナレッジマネージメントの仕組みを有機的に合体させるシステムが有効
・計画を待つのではなく、本来の業務である「Do」の継続から改善・生産性向上の活動を行う全社的活動とする。間接的部門の支援が重要である。D・ CAPで進める。
・停滞は後退であるという意識付けと継続させるための支援活動を評価する仕組み
4)プレッシャー
外部環境の変化や外部からの圧力に対する企業や組織のディフェンスのためには、個々の強みの強化による全体のレベルアップと即座に攻撃に転じられる心構え、体勢を維持することになる。つまり、外に向かって開かれた目と変化を読み取る能力を向上させること、競合相手に屈しない総合力を保持することが必要である。それが、対外的な最大のプレッシャーであり、組織の前進のための車輪を動かす駆動力となる。
・メンバー一人ひとりの学習と成長、ミッション・ビジョンへの理解、貢献意欲の醸造など、チーム力を最大値に引き上げるシステム
・学習の機会、社内SNSやナレッジ共有システムを活用し、常に全体のレベルアップを目指す
・学習・自己啓発・システム活用を評価する仕組み
* ラグビースタイルマネジメントは、イノベーションを組織に埋め込むツールとなる。
以上
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