居酒屋で経営知識
(7):4つの基本原理
【主な登場人物】 ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている 黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み 由美:居酒屋みやびの元看板娘 黒沢の姪 雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した 亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト 原島:ジンの高校の大先輩。大企業の関連企業社長
勉強会が終わったら、商店街の天ぷら屋で反省会をすることにしていた。
みやびは、調理場等は使わない約束になっていたので河岸を変えることにしたのだ。
「そろそろ反省会に気持ちが傾いてきていますので、もう一歩進めておくくらいにしましょう」
「あそこの天ぷらはしつこくないからいいよな。最近油ものを控えるようになってきたよ」
「ええ?鳶野さんが、そんなこと言うなんて思わなかったわ」
「俺も歳を取ってきたって言うことかな。なあ、ジン。お前もそうだろ」
「天ぷらは気にならないんだけど、確かに唐揚げとか、串揚げなんかだと量は食べなくなったな。ま、そんな話をしていると天ぷらが冷えちまうか。じゃあ、進めるよ」
みんなが学習体制に戻る。
「レイ・ウィリアムズのスキルフルラグビーの続きになるけど、これが本題です。レイは4つの原理を基本原理としています。
・前進
・サポート
・継続
・プレッシャー
の4つです」
「まさに、ラグビーというスポーツについて語っているんだから、ボールを獲得するとか、タックルやパスは原理とはならないのか」
「レイに言わせると、個人のテクニックもスキルも何もかもすべては『前進・サポート・継続・プレッシャー』に向けての手段に過ぎないと言うことだ」
「うーん。なるほど、と言えるかもしれないな。最終的に、敵陣のゴールラインを越えてトライをするにしても、これらの原理に基づいて、選手の選抜や個々のスキル向上の優先順位を考えていくということになるんだな」
「さすが、原島さん。トライという成果を出すためには、まずは、組織として『前進』する必要がありますね。言い方を変えるとボールを確実に前に進めていくことが必須です。また、そのためにも、ボールを持っていないメンバーが、常に後ろから正しいタイミングで『サポート』しなければ前進できないし、ミスをカバーすることが出来ない。同時に、『継続』のためのユニットとしてのスキルや戦術をとる必要があるという考え方になります」
「前進・サポート・継続によって、トライに向けてボールを進めていくということになるようだな。あと一つのプレッシャーというのは、どんなプレッシャーのことを言っているんだ?」
「これはディフェンスのための原理だよ。攻撃の原理である前進・サポート・継続を阻止するには、たった一つの原理に基づいてプレーするということなんだ。プレッシャーをかけ続け、相手にミスを起こさせることが大原則だ」
「それだけか?シンプルだな」
「ボールを持っている方が有利なのは間違いが無いし、プレッシャーがなければ、易々と前進することができることになるだろう」
「了解。それを、どう経営とくっつけるかが楽しみだな」
「そこはゆっくり考えないと単なるこじつけになってしまうので、協力をよろしく」
「もちろんだ。て、ことは天ぷらの時間かな」
「さあ、行こう!」
勉強会の1日目は課題を提供した形で終了した。さて、次の展開はもっと考えなければいけないな。
(続く)
《1Point》
・ラグビーの4つの原理
(1)前進:個人ではなく組織の前進である
(2)サポート:チェックをし、準備をする
(3)継続:止まっているプレーは後退である
(4)プレッシャー:主導権は相手にある
これらの原理をビジネスにおける組織マネジメントとして考えていきます。
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