非営利組織の経営

(6)ドラッカー名著集 4 非営利組織の経営
  非営利組織にこそ、ミッション・リーダーシップ・マネジメントの本質がある
  第1部:ミッションとリーダーシップ
    第1章:ミッション
    第2章:イノベーションとリーダーシップ
    第3章:目標の設定
    第4章:リーダーの責任
    第5章:リーダーであるということ
  第2部マーケティング、イノベーション、資金源開拓
    第1章:マーケティングと資金源開拓
    第2章:成功する戦略
    第3章:非営利組織のマーケティング戦略
    第4章:資金源の開拓
    第5章:非営利組織の戦略
  第3部:非営利組織の成果
    第1章:非営利組織にとっての成果
    第2章:「してはならないこと」と「しなければならないこと」
    第3章:成果をあげるための意志決定
    第4章:学校の改革
    第5章:成果が評価基準
  第4部:ボランティアと理事会
    第1章:人事と組織
    第2章:理事会とコミュニティ
    第3章:ボランティアから無給のスタッフへの変身
    第4章:理事会の役割
    第5章:人のマネジメント
  第5部:自己開発
    第1章:自らの成長
    第2章:何によって憶えられたいか
    第3章:第二の人生としての非営利組織
    第4章:非営利組織における女性の活躍
    第5章:自らを成長させるということ
ドラッカーの言葉該当ページと独り言
リーダーが初めに行うべきは、自らの組織のミッションを考え抜き、定義することである。P2
基本的なことであると考えるか、ミッションなんて看板だと考えるのか。
ミッションが具体化されていないことに愕然とし、結局習慣的な行動をしているサラリーマンがいかに多いか。
ミッションは行動本位たるべきものである。さもなければ単なる意図に終わる。ミッションとは、組織に働く者全員が自らの貢献を知りうるようにするものでなければならない。P4
ミッションって何?と考えたあなた。経営者にも多いのです。それ以上に、観念的・大風呂敷で結局何を言っているのかわからないミッションステートメントになってしまっている。
何かを加えたら何かを廃棄しなければならない。常に、最も役に立つものはなにか、あまり役に立たなくなったものは何か、意義を失ったものは何かを検討していかなければならない。P6
一度作ったら満足していませんか。
ミッションの三本柱
第一に問うべきは、機会は何か、ニーズは何かである。
第二に問うべきは、それはわれわれ向きの機会かである。
第三に問うべきは、心底価値を信じているかである。
P8一部抜粋
とにかく、真摯なること。つまり、バカまじめに考え、行動すること。
幸か不幸か、いかなる組織にも危機はくる。必ずくる。その時がリーダーに頼るときである。リーダーにとって最も重要な仕事は、危機の到来を予期することである。回避するためでなく備えるためである。危機がくるまで待つことは責任の放棄である。暴風雨を予期し、先手を打たなければならない。それがイノベーションである。倦むことのない刷新である。P9
ドラッカーは、「幸か」不幸かと言っている。組織にとって、必ずしも
イノベーションを行えるようになるための大前提が、変化は脅威ではないとの認識である。変化は機会である。その上われわれは変化をどこに見つけるべきかを知っている。P12
変化こそが、われわれが明確に認識できる機会であると言っていると思う。
新しいものには、それに惚れ込んだ人間のコミットが必要だということである。P16
理屈だけでは進めない。
組織のリーダーを選ぶには何を見なければならないか。
1)その人が何をしてきたか、何がその人の強みかを見る。
2)組織が置かれている状況を見て、組織のために行うべき重要なことは何かを考える。
3)真摯さを見る。
P17~18抜粋
強みと真摯さ、そして、組織との適合と考えて良いのだろう。
(人事の適切さで有名な賢人から教わったこと)
何を見るのかと聞いたところ、その答えが、「重要なことは自分の子供をその人の下で働かせたいと思うかである。その人が成功すれば、若い人が見習う。だから私は自分の子がその人のようになってほしいかを考える」だった。
これが、人事についての究極の判断基準である。
P18
まさしく。
優れたリーダーは、「私」とはいわない。意識していわないのではない。「私」を考えないのである。いつも「われわれ」と考える。P21
できるだろうか。
リーダーとしての能力
1)人のいうことを聞く意欲、能力、姿勢である。聞くことはスキルではなく姿勢である。誰にでもできる。しなければならないことは、自分の口を閉ざすことである。
2)コミュニケーションの意志、つまり自らの考えを理解してもらう意欲である。
3)言い訳をしないことである。
4)仕事の重要性に比べれば、自分などとるに足りないことを認識することである。
P23
基本的なことでありながら、本当にできていないことだ。なぜ、自分のことばかり話し続けるのだろうか。
リーダーにとって最悪のことは、辞めたあと組織ががたがたになることである。P23
リーダーたるものの重要な仕事の一つが、個別的な問題と全体的な問題、短期的な問題と長期的な問題など、二つのもののバランスを取ることである。P27
日々、個別的な問題と短期的な問題、個別案件の机上での利益率や今年度の目標達成がほとんどの仕事になっていないか?
(バランスの問題)
・難しいのは、集中と多様化のバランスである。
・さらに重要なバランス、しかも対処の難しいバランスが、慎重さと迅速さのバランスである。
・機会とリスクにかかわるバランスもある。ここで考えるべきは、元に戻すことはできるかである。
P28~P29抜粋
確かに言葉で考えると難しくなってくる。つまりは、リーダーの資質の影響が大きくなる点であろう。
非営利組織のリーダーがしてはならないこと
・成果をあげるには、自分をわっかってもらうために時間を使わなければならない。
・もう一つしてはならないことがある。組織内の個性を恐れることである。
・リーダーは後継者を自分一人で選んではならない。
→優れたリーダーが自分の後継者にナンバーツーを選んでいる例をたくさん目にしてきた。
・そしてしてはならないことの最後は、手柄を一人占めすることであり、部下を悪くいうことである。
P30~P32抜粋
自分のことをみんながわかっていると思うし、臆せず自分の意見を言う者を疎み、自分の側近のイエスマンを後継者にする。
そして、うまくいった部分だけ自分の成果とする。
人の可能性を引き出す
できることは、人がすでにもっているものを伸ばすことである。もっていないものを伸ばすことはできない。
P43
もっともっと見なければいけない。彼の伸ばすべきものは何か。
「永遠なるものへは、明日への一歩からスタートしてはならない。それは、一歩の積み重ねではない」(詩人ジョン・ダン)P51
どうしても明日何をするかを明確にすることを優先している。
行動は短期的たらざるをえない。だからこそ、長期の目標につながるか、寄り道にすぎないか、目的を見失っていないかを考えなければならない。これが最初に考えるべきことである。P52
ミッションを見失ってはいけない。そのために、ビジョンを何度も見直し、戦略を練り直し、今日行うことを検証する。PDCAの繰り返しに必ず長期の眼を忘れないこと。
非営利組織には、四つのものが必要である。プランニング、マーケティング、人、資金である。P58
非営利組織にとってもマーケティングが必要であるということが重要である思う。だから、ミッションがしっかりしていないといけない。
そして、資金もしかり。
第二の原則は、あらゆる関係者を知ることである。そう、あらゆる関係者である。ノーということのできる者を顧客と呼ぶならば、非営利組織には何種類もの顧客がいる。
(中略)
ボーイスカウトやガールスカウトはもっと多くの顧客をもつ。親がいる。子供がいる。働いてくれるボランティアがいる。生徒の参加を禁止さえできるという地元の学校の先生方がいる。
P60~P61
ノーということのできる者を顧客と呼ぶという見方はわかりやすい。
意図では山は動かない。山を動かすのはブルドーザーである。ミッションとプランは意図にすぎない。戦略がブルドーザーである。戦略が山を動かす。特に、非営利組織では戦略が重要である。P65
意図や計画で終わってしまうことが多い。まずは、具体的な戦略を明示すること。
量的な目標は設定できなくとも、評価することのできる目標は設定できる。P69
特に非営利組織では定量的な評価が難しいが、評価をしないというではいけない。
戦略に関しては一つだけしてはならないことがある。意見の対立を理由に目標の設定を逃げることである。P74
目立たないが、実は目標を曖昧にしていることが多い組織が多いのでは?
戦略の実行の仕方については妥協が必要とされることもある。しかし目標に関しては妥協も二股も許されない。P74
目標がぶれるのは、できそうにないとあきらめるからだろうか。
外の世界の変化こそ機会である。
(中略)
しかる後に、組織の中を見て、取るべき変化の方向を教えてくれるものを探さなければならない。そしてその最たるものが予期せぬ成功である。ところがほとんどの組織が、予期せぬ成功を当然のこととして悦に入っている。行動への呼びかけと受け取るものはほとんどない。
P77
今のうちの姿かもしれない。なぜ成績が良いのか、本気で分析している人はいない。成績の良い部門長が誉められ、次の昇進につながるだけだ。
イノベーションの条件
第一の条件が、変化を脅威ではなく機会として見ることである。
第二の条件が、責任者となってくれる者を探すことである。
第三の条件が、戦略をもつことである。
P78抜粋
新しいものを本気でやり続ける責任者をおけるかどうかが、組織の継続的な発展を左右する。
戦略がうまくいかないときの鉄則は、「もう一度行う、それでもだめなら別のことを行う」である。P82
執着だけでもいけないし、ドライすぎてもいけないということか。
(フィリップコトラー)
マーケティングで重要なことは、マーケットリサーチ、セグメンテーション(マーケット区分)、ターゲッティング、ポジショニング(自らの位置づけ)、仕事の設計の五つです。
P84
フィリップコトラーとの対談でコトラーが言っている言葉。ドラッカーのいう「マーケティングの目的は販売を不要にすること」を下地にしている。
マーケティングとは販売でないとすると、マーケティングとは何であるということになるでしょうか。マーケティングについての一番短い定義は、「ニーズを満足させること」というものです。「価値を加えて」と入れればもっとよいと思います。P84
同じくコトラーの言葉。短くとも、含蓄のある言葉のような気がする。この言葉を自分のものとできれば、マーケティングの混乱が整理されるかもしれない。
顧客や消費者からスタートすればマーケティングです。製品やサービスからスタートすれば販売です。P84
(コトラー)
これもわかりやすい。チェック!
マーケティングの3つのステップ
マーケティングには、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの三つの大きなステップ、STPがあります。
P86
(コトラー)
ニッチマーケティングであると本人が言っています。非営利組織は、特に、こうあるべきという趣旨のようです。
ミッションを成果に結びつけるものが戦略である。P109
戦略を軽視し、または、販売と混同している非営利組織が多い。
組織が生み出すものからスタートするのではない。最終消費者すなわち顧客の満足からスタートしなければならない。P110
まさしく、「価値を加えて」「ニーズを満足させる」ことを考えていくことがスタートということになる。
ミッションを具体化するための成果を定義するにあたっては、二つの落とし穴がある。
一つは大義だけを唱えることである。(中略)重要なことは、限られた資源を成果の期待できるところへ集中することである。できない約束をすることではない。
P119
大義を唱えていることをPRばかりしていても進まないということだ。具体的に進めなければいけない。
同じように危険なもう一つの落とし穴が、その逆であって、大義の追求を考えずに成果を求めることである。P120
人気取りや気前がいい人向けになってしまうこと。
長期の目標以外に、すべての関係者の関心を調和させる方法はない。P122
逆に考えると、無期限の目標まで進めるとミッションになるのではないか。
だが、動いているものが接触すれば摩擦が起こるのが自然の法則である。礼儀とはこの摩擦を緩和するための潤滑油である。P128
めずらしいような気がするが、ドラッカーの礼儀論だ。組織の中には摩擦が起こるのは当たり前。
大義は礼儀を不要にしない。不作法は人の神経を逆なでし、消えることのない傷を残す。逆に礼儀がすべてをよい方向に変える。P128
大成した人のほとんどが礼儀を説いているような気がする。人と生きること。
人が何事かを成し遂げるのは、強みによってである。すでにもっているものによってである。もっていないものによってではない。そして人の強みを成果に結びつけ、弱みを意味のないものにすることが組織の役割である。P134
組織の価値はこれで決まる。
検討は、リスクからではなく機会から始めるべきである。P138
ところが、トップになるほど「リスク」から始めている。
リスクには三種類ある。
負えるリスクがある。
失敗したら深刻な害をもたらし、しかも元に戻せないリスクがある。
失敗すれば害は大きいが負わざるをえないというリスクがある。
P138抜粋
1920年頃、アメリカの政治学者メアリー・パーカー・フォレットは、意見の違いがあるときには誰が正しいかを考えてはならないとした。何が正しいのかさえ考えてはならないとした。全員の答えが正しいと考えるべきであるとした。ただし、違う問題に対してである。全員が違う現実を見ている。P139
ドラッカーは全員の意見が一致した時は、必ず見落としがあるという例を数多く示している。
認識は間違いなく事実の一面しか見ていない。だから、全員一致ということは、全員が一面しか見ていないということだ。もしくは、付和雷同の集まりかもしれない。
「あなたを拝見していると得意なのはこちらのようです。今やっておられることではないようですね」といってあげる。そうしてあなたは助けてあげる。でも、このことをわかっているリーダーは少ないですよ。たいていのリーダーは逃げています。P185
リーダーの役目として、うまくいっていない人を見たら得意なことを見つけることがある。
(動機づけ)
~しかし、まったくやる気のない人たちの動機づけについていっておられるのであれば、お聞きになられること自体が間違いであるといわなければなりません。実は動機づけされるのはリーダー的な人たちだけだからです。
P185
考えてもいなかったことだった。
「上の方の一割の学生をつかまえなさい。彼らをつかまえられなければ、全員はつかまえられませんよ。しかし上位一割にやる気を起こさせることができれば、平均的な連中はついて来ます」と教えました。P186
なるべく多くの、もしくは全員にやる気を起こさせようとするから失敗してしまうのだろう。
リーダーと普通の人たちの差は一定であるという法則があります。ですから、リーダー的な人たちに働きかけなければなりません。P187
チームを動かすための視点
誰かがやればほかの誰かもやる。"マイル4分"の壁を思い出します。
ドラッカー:もっと前の"マイル5分"が人間の限界だとされていた頃を思い出します。私が高校生の頃です。当時は「神様は人間の身体を"マイル5分"以内で走れるようにはおつくりにならなかった」というのが常識でした。ところが1920年代初めのある日、あるフィンランド人が5分の壁を破りました。すると6週間後には、何人もの人たちが自分の記録を6秒も縮めていたのです。物事はそういうものです。
P188
この話は人間の限界は無いのかもしれないと思わせてくれる。
肉体以上に、知力においては限界など無いはずだ。
(CEO)
そのためには、情報はすべて出す必要がある。隠すことがいちばん悪い。操作しようとしてもならない。一部の者と結託してはならない。これらすべての誘惑に勝たなければならない。さもなければ、自らが一年か二年でポストを失う。
P201
日々の仕事をスムーズに処理したいという誘惑は、これらの行動を引き起こしてしまう。たぶん、普通にやってしまう。
自らの成長のために最も優先すべきは卓越性の追求である。そこから充実と自信が生まれる。能力は、仕事の質を変えるだけでなく人間そのものを変えるがゆえに、重大な意味をもつ。能力なくしては、優れた仕事はありえず、自信もありえず、人としての成長もありえない。P206
卓越性を追求したい。強く思う。
得るべき所はどこかとの問いへの答えが、いま働いている所ではないということであるならば、次の問いは、それはなぜかである。組織の価値観に馴染めないからか。組織に緊張感がないからか。そのようなとき人は確実にだめになる。組織の価値観が自らの価値観に合っていないならば、人は自らを軽く見るようになる。あるいは上司が利己的なことがある。上司としての役目、部下を育て上げる役目を果たさないことがある。P213
価値観が違う。目標が見えない。何のために存在するのか、考えられない。
組織が腐っているとき、自分が所を得ていないとき、あるいは成果が認められないときには、辞めることが正しい道である。出世はたいした問題ではない。重要なことは公正であることであり公平であることである。さもなければ、やがて自らを二流の存在と見るようになる。P213
辞めることが正しい道である!!
成果をあげるための第一歩は、行うべきことを決めることである。いかに効率があがろうとも、行うべきことを行っているのでなければ意味はない。しかる後に、優先すべきこと集中すべきことを決めることである。そして自らの強みを生かすことである。P216
行うべきこと。自分が行っていることは、本当に行うべきことなのだろうかと問うてみたことがあるだろうか。
なすべきは自らがもっていないものではなく、自らがもっているものを使って成果をあげることである。P216
強みとはスキルの有無ではない。能力である。読めるかどうかが問題ではない。読み手であるか聞き手であるかが問題なのだ。それは右ききや左ききのように、変えにくいものである。P217
強み、とだけ言っていると「スキル」に目がいってしまう。俺は、読み手である。
自らの成長につながる最も効果的な方法は、自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追求することである。ところがほとんどの人が、問題にばかり気をとられ成功の証しを無視する。P218
自分の予期せぬ成功とは?
大学も、診断士も自分の考えていた以上の成果であった。これは、俺の予期せぬ成功と言えるのだろうか。
「何によって憶えられたいか」という問いかけP219
自己開発は哲学でも願望でもない。それは人としての成長である。同時に、貢献の能力の向上である。したがって、私はあなたに「明日何をしますか。何をやめますか」とお聞きすることによって本書の結びとしたい。P240
俺は・・・