居酒屋で経営知識
35.謹賀新年2014
【主な登場人物】 ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている 黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み 由美:居酒屋みやびの元看板娘 黒沢の姪 雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した 亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト 原島:ジンの高校の大先輩。大企業の関連企業社長
「あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」
あちこちで立ち止まり、頭を下げ合う風景を見ながら、商店街を抜けた。
「ジン、おめでとう。今年もよろしく頼むよ」
「こちらこそ、よろしく。雄二も、このところ忙しそうだったけど、大丈夫か」
「年末にかけて、これまでとは違った注文が入り始めてな。お前の良く言う予期せざる成功を見極めようと必死だったんだ。おかげで、いろんなものが見えてきたよ」
「そうだったのか。世の中が動き出したようだからな。あ、由美ちゃん。きれいだね」
「お、由美。馬子にも衣装だなあ」
「あけましておめでとうございます。まったく、二人は毎年同じ反応ね」
「あけましておめでとうございます。由美ちゃん、そう言われると恥ずかしくなってくるね。雄二の言葉がいかんのだな」
「改めて、明けましておめでとう。他にいい言葉が浮かばないんだからしょうがない。毎年恒例と言うことで」
「おーい。みんな集まってるぞ」
「あ、原島さん。すいません。あけましておめでとうございます」
「北野、鳶野、由美さん。今年も、よろしくお願いします」
恒例のみやびでの新年会に集まってきている。店は休みだが、大将が常連だけの新年会を行っているのだ。
「さあさあ、みんな、入った、入った。挨拶は後で。樽酒開けるから、ジンさんも準備を頼むよ」
正面の台には、菰樽が置かれ、テーブルには随分の人が集まっていた。
「えへん。それでは、ジンさん達も揃いましたので、新年会をはじめたいと思います。では、恒例により大森商店会長に鏡開きのご発声をお願いします。鏡開きは、義本社長、有森社長、原島社長の3社長にお願いします」
「えー、皆さん、新年あけましておめでとうございます。ここで、新年会をするようになって、毎年、参加者が増えているのに驚かされます。今年の鏡開きには、今や日本を動かす、3人の社長さんが集まっているなんて、みやびの行く末も前途洋々、皆さんの2014年も前途洋々ですね。それでは、今年1年の始まりに、皆さんの大いなる前進とご家族・従業員、そしてもちろん個々にお集まりの皆様の健康を祈念いたしまして鏡開きを執り行います。それではよろしくお願いします」
鏡開きが行われ、みんなにお酒が注がれ、新年の挨拶の取り交わしが続いた。
「近藤さん、あけましておめでとうございます」
「ジンさん、あけましておめでとうございます。昨年は山口君の対応ありがとうございました。彼も、見違えるほどにやる気に満ちてました」
「いえいえ、こちらこそ、細かい部分を忘れてますので、いい勉強になります」
入り口から振り袖の女性が入ってきた。
「ごめんなさい。着付けに時間がかかってしまって」
「沙知。お帰りなさい。わあ、きれいね。早くお入りなさい」
アメリカ留学中の長井沙知が、着物でやってきたのだ。
「由美さん、ジンさんに鳶野さん。みやびのマスター。大森さん!お久しぶりです。皆さん、あけましておめでとうございます」
「沙知さん。久しぶりで、知らない人も多くてビックリでしょう。皆さん、今、アメリカのビジネススクール留学中の長井沙知さんです」
「沙知さん。きれいになりましたね。お父さんはお元気ですか」
「有森さん、ご無沙汰しています。父も来たがっていたんですが、自宅にお客様が多いので、残念がっていました」
「そうでしょうね。今では、長井さんのコンサルを受けるのに1年以上待つのは当たり前と言われてますからね」
・・・・・・・
新年を多くの仲間とスタート出来るというのはすばらしい。今年は、更に成果を挙げ、みんなと分かち合えるよう頑張らなければという思いがこみ上げてきた。
改めまして、あけましておめでとうございます。そして、今年も一緒に前進していきましょう。
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