現代の経営[下]

(5)ドラッカー名著集3 現代の経営[下]
  経営管理者にとって決定的に重要なものは真摯さである
   第Ⅲ部:マネジメントの組織構造
    第16章:組織の構造を選ぶ
    第17章:組織の構造をつくる
    第18章:小企業、大企業、成長企業
  第Ⅳ部:人と仕事のマネジメント
    第19章:IBM物語
    第20章:人を雇うということ
    第21章:人事管理は破綻したか
    第22章:最高の仕事のための人間組織
    第23章:最高の仕事への動機づけ
    第24章:経済的次元の問題
    第25章:現場管理者
    第26章:専門職
  第Ⅴ部:経営管理者のであることの意味
    第27章:優れた経営管理者の要件
    第28章:意志決定を行うこと
    第29章:明日の経営管理者
  結 論:マネジメントの責任
ドラッカーの言葉該当ページと独り言
組織の分析は組織の構造から入ってはならない。事業そのものの分析から入ることが必要である。すなわち、組織の構造を検討するにあたって最初に問うべきは、われわれの事業の目標は何か、何でなければならないかである。P4
組織というものは手段である。
事業が成長の足固めに失敗し、倒産はしないまでも縮小していく最大の原因は、もはや社長が行うべきでない意志決定をいつまでも社長自らが行っていることにある。P8
権限の委譲ができない経営管理者が多いんだよ。
事業上の意志決定分類の基準
①意志決定の息の長さ(時間的要因)
②影響の大きさ(影響度)
③意志決定に含まれる価値的な要因の大きさ(質的要因)
④反復度
P8~10抜粋
意志決定は、原則として、常にできるかぎり低いレベルの現場に近いところで行う必要がある。しかし同時に、影響を受ける他の活動や目標について十分考慮できる高さのレベルで行う必要がある。P11
意志決定はピラミッドの頂点で行うことばかりではないのに。
特に大企業においては、マネジメントの階層が増えるごとに、昇進に時間がかかるようになる。かつ、経営管理者ではなく専門職を昇進しやすくしてしまうために、明日のための経営管理者を育成することが難しくなる。P17
これぞ、我が疑問の一つ。技術的な成果を上げた人がライン長となり、組織の経営管理者となっていくのはなぜだ。彼の強みは技術であるのに。
しかし、連邦型組織を成功させるには、守らなければならない条件がある。すなわち、単位組織は企業全体の利益に貢献するのではなく、企業全体に対し利益をもたらすべく貢献しなければならない。P33
連邦型組織とはカンパニー制などを言っているのだろうか。
連邦型組織では、企業全体の観点から、中央が明確な目標設定を行うことによって、単位組織に強力な方向付けを行う。P35
目標が利益では方向付けができない。金融資産に投資した方がいいと言うことになってしまうじゃないか。
分権型組織における共同体意識の育成方法
①重要な意志決定権はトップマネジメントにのみ付与すること
②単位組織を超えて、経営管理者を異動ないし昇進させること
③各組織単位の経営管理者に、共通の原則、すなわち共通の目的と信条をもたせること
P47~49抜粋
経営管理者を得意な組織単位に縛り付け(温存し)ているのが現実
健全な組織は定義が困難である。しかし、不健全な組織の症状は指摘できる。
→マネジメントの階層の増加、権限の集中、調整役・促進役、補佐役の増加
→頻繁な打ち合わせの開催、専任の連絡担当者の任命
→マネジメントの年齢構造の偏り
P51~52抜粋
今の企業の現状を言われているようだ。現実は変わっていないということなのだろう。
企業活動を「ライン」と「スタッフ」という言葉で分けることは疑問である。P73
ドラッカーはスタッフ機能は一切持つべきでないと言っている。スタッフとは責任抜きの権限を意味するという。
スタッフ部門は、事業のニーズや目標によって自らの目標を設定するのではなく、自らの専門領域そのものが目的であるかのように動く。P76
我が社でもスタッフ部門は肥大化している。
スタッフ部門は、自分たちが奉仕する現業の経営管理者が、どれだけの業績をあげたかによって自らの業績を評価すべきであるにもかかわらず、自らが立案したプログラムをどれだけ採用したかによって経営管理者の業績を評価しようとする。P76
うーむ
一言で言うならば、本社スタッフは、現業の経営管理者のためのサービススタッフではなく、トップマネジメントのための助手である。P80
事実、企業が成果をあげられるか否かは、働く人たちに成果をあげさせる方法、すなわち仕事のさせ方如何にかかっている。P92
人と仕事のマネジメントの問題
・「人的資源」の「人的」という言葉を中心に据えるか、「資源」という言葉を中心に据えるかによって大きく異なる。
・企業が働く人に対し要求すべきものはなにか。働く人が、企業に対し要求すべきものは何か。
・コストとしての賃金と所得としての賃金の対立がある。
P102
H.ミンツバーグは「人的資源」という言葉に疑問を投げていた。人件費は付加価値であり、コストとする考え方でいいのだろうか。固定費削減といえば、人員削減に直結しているようだ。
人には他の資源にはない資質がある。すなわち、調整し、統合し、判断し、想像する能力である。P103
経営資源と一言で言ってしまうが、「ヒト」は資源なのだろうか。資源を使って付加価値を生み出すのが、「ヒト」の役割ではないか。
しかし、人格をもつ存在としての人を利用できるのは本人だけである。P103
それが、単純でかつ複雑な問題を生む。
まさに、労働とは人の働きであるがゆえに、一日の正当な労働なるものは決して得ることができない。なぜならば、それは黙従を意味するからである。そして黙従こそ、人という特殊な存在が行うことのできないものだからである。P109
第一の原理は、仕事の分析と組織について科学的管理法を適用することである。
第二の原理は、仕事そのものの改善のための最短の近道として、仕事の要素動作を改善することである。
第三の原理は、それらの要素動作を体系的に、かつ仕事の論理に従って配列することである。
しかし仕事の組織において、問題は仕事を要素動作に分解することではなく、それらの要素動作を一つの全体に統合することにある。
P149抜粋
テイラーの科学的管理法を礼賛しているのかと思った。でも、全体から見る視点を忘れないことが肝要。
誇りや達成感は仕事と離れては生み出されない。仕事の中から生まれることが必要である。P167
誇りや達成感は与えることができない。
資源としての肉体など存在しえないと言うことが、本書の基本命題の一つである。また人と仕事のマネジメントが目的とするものは、企業に働く人全員にマネジメント的視点をもたせることであり、そのための方法は彼らに責任と権限を与えることであるということが、本書の命題である。P198
責任と権限を与えることを嫌がる経営管理者もいる。
第一の課題として、経営管理者は、部分の総計を超える総体、ずなわち投入された資源の総計を超えるものを生み出さなければならない。P211
第二の課題として、経営管理者はあらゆる意志決定と行動において、当面するニーズと長期のニーズを調和させなければならない。P212
評価が短期で行われる実態を変えなければならないだろう。
経営管理者の仕事
①目標を設定する
②組織する
③動機づけを行い、コミュニケーションを行う
④評価測定する
⑤部下を育成する
P214~P2151抜粋
戦略的な意志決定では、範囲、複雑さ、重要さがどうあろうとも、初めから答えを得ようとしてはならない。重要なことは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを探すことである。P226
我々は答えを探そうとする。しかし、答えはその時点もしくは過去のものだということを言いたいと理解した。正しい問いを続けることが変化に対応する経営を可能にする。
戦略的な意志決定には五つの段階がある。問題の理解、問題の分析、解決案の作成、解決策の選定、効果的な実行である。P227
最善の解決策の選定基準
①リスク
②経済性
③タイミング
④人的な制約(特に意志決定の結果を実行すべき人たち)
P241~242抜粋
答えは一つしかない。仕事の単純化である。そのための方法も一つしかない。勘と直感で行ってきたことをシステムと方法論によって行い、経験と体験によって行ってきたことを原則とコンセプトによって行うことである。P256
新しい課題をいかに遂行するかへの答えである。