居酒屋で経営知識

(8):天ぷら休憩(^_^;)

【主な登場人物】
ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている
黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み
由美:居酒屋みやびの元看板娘 黒沢の姪
雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した
亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト
原島:ジンの高校の大先輩。大企業の関連企業社長

 みやびの店舗を借りた勉強会が終わった。今夜は、商店街にある天ぷら屋に河岸を変えて反省会をすることにした。

「オヤジさん、まずは生ビールを人数分よろしく」

「あいよっ」

 日曜日の商店街にあるこの天ぷら屋には、買い物客や家族連れが何組か入っていて、早い時間ではあるがビールを飲んでいる人が多い。

「日曜日の夕方は、お店が休みだからこの辺に来たことがなかったけど、結構流行っているのね」

「由美ちゃん。やっぱり、大森会長達が頑張って、それぞれの個店が連携できるようになったのが大きいよね」

「ジンは、俺がコンサルしたからって言いたいんだろ。まあ、その効果はあったってことかな」

「コンサルを依頼して、何とかしようって言う気持ちが、役員だけじゃなく、商店街全体の流れに変わったことが大きかったと思うよ」

「お、来た来た。ジンの講釈が流れに乗らないうちに乾杯しようぜ。本日はお疲れ様でした」

「かんぱーい!」

 雄二は常に一言多いが、みんなを盛り上げる能力は高いというのは認めることにしよう。

「北野がサラリーマンがてらコンサルをしていること自体驚くが、商店街の活性化って、特に大変なんじゃないのか」

「原島さんの言うとおり、とにかく個人商店が多いのとその経営者が高齢化しているというのもありますね。それに加え、所々にチェーン店が入ることが多くなって、意見をまとめるのが大変なんですよね。シャッターを閉める店が増えてしまうとそれだけで暗い雰囲気になってしまって、お客さんの足が向かなくなってしまったり」

「生活習慣も変わってしまっているものね。毎日夕飯の買い物をする人が減って、週末に郊外の大型スーパーで一週間の買いだめをする人が多いと言うわ」

「全国的な悩みだよね。それでも、非常に流行っている商店街もあるのでやりようはあるんだろうね」

 天ぷらが少しずつ揚がってきて、酒のピッチも上がり出す。

「天ぷらは揚げたてを少しずつ食べるのが贅沢だよな」

「ところで、北野。来週の企業診断だが、今日やったラグビーの4つの原理と直接繋げるのか?」

「原島さん。そのつもりです。もちろん、診断に協力してもらう社員の方にも、徐々に考え方を伝授する必要がありますね」

「そこは、北野に全権委任するからな。今回の診断に協力するチームにもラグビー経験者はいたからやりやすいかもしれない」

「それはありがたいです」

「ジンさんも本格的なコンサルタント業ね。影ながら応援するわ」

「そのうち由美ちゃんや雄二にも手伝ってもらうかもしれない」

「大歓迎。やったあ」

 揚げたて天ぷらで盛り上がりながら、前進・サポート・継続・プレッシャーという原理を繰り返していた。

(続く)


《1Point》
・ラグビーの4つの原理

(1)前進:個人ではなく組織の前進である
(2)サポート:チェックをし、準備をする
(3)継続:止まっているプレーは後退である
(4)プレッシャー:主導権は相手にある

 今回、内容に進めませんでした。頭の休憩と言うことでお許しを。