創造する経営者

(8)ドラッカー名著集 創造する経営者 (ドラッカー名著集 6)
 「事業戦略」の世界で最初の書
 第1部:事業の何たるかを理解する
  第1章:企業の現実
  第2章:業績をもたらす領域
  第3章:利益と資源、その見通し
  第4章:製品とライフサイクル
  第5章:コストセンターとコスト構造
  第6章:顧客が事業である
  第7章:知識が事業である
  第8章:これがわが社の事業である
 第2部:機会に焦点を合わせる
  第9章:強みを基礎とする
  第10章:事業機会の発見
  第11章:未来を今日築く
 第3部:事業の業績をあげる
  第12章:意志決定
  第13章:事業戦略と経営計画
  第14章:業績をあげる
 終 章:コミットメント
ドラッカーの言葉該当ページと独り言
企業にとって今日行うべき仕事は三つある。
・今日の事業の成果をあげる。
・潜在的な機会を発見する。
・明日のために新しい事業を開拓する
P3
明日の問題に取り組む前に今日の問題を解決しなければいけない。が、経営者は、日々の未決問題に忙殺されている。
未来は明日つくるものではない。今日つくるものである。今日の仕事との関係のもとに行う意志決定と行動によって、今日つくるものである。逆に、明日をつくるために行うことが、直接今日に影響を及ぼす。P4
明日は常に先延ばしになる。
成果は、内部にいる者や、企業の支配下にある者によって決められるのではない。市場経済における顧客、統制経済における政府当局といった外部の誰かによって決められる。企業の活動が、成果を生むか無駄に終わるかを左右するのは、企業の外部にいる者である。P5
内部にあるのはコストセンターである。
成果は、問題の解決ではなく、機会の開拓によって得られるP6
ところが、日常の活動は問題の解決に向けられている。
重要なことは、いかに適切に仕事を行うかではなく、いかになすべき仕事を見つけ、いかに資源と活動を集中するかである。P7
成果に向かうと言うこと。
経営者が、時間の大半を今日の問題に使っているなどといういい方は、婉曲話法にすぎない。正しくは昨日の問題に使っている。過去の修正に使っている。P9
ある程度仕方がないとしても、明日に向けた今日を意識しないと進まない。
第一に、業績の九〇%が業績上位の10%からもたらされるの対し、コストの九〇%は業績を生まない90%から発生する。業績とコストとは関係がない。すなわち業績は利益と比例し、コストは作業の量と比例する。P11
第二に、資源と活動のほとんどは、業績に貢献しない九〇%の作業に使われる。すなわち資源と活動は、業績に応じてではなく作業の量に応じて割り当てられる。その結果、高度に訓練された社員など最も高価で生産的な資源が、最も誤って配置される。P11
ヒト・モノ・カネが誤った投入によって浪費されている。
特に意見の対立は重要である。意見の対立が、現場に近い人たちの心に、事業、製品、経営方針、将来の方向づけについての疑問を生む。P19
議論すべき会議ですら、意見の対立を避けようとしている。
だが、「一度で成功しなければ、一度だけやり直せ。そして次は、ほかのことをせよ」のほうが正しい。なぜならば、成功の確率は、回数を重ねるたびに大きくなるのではなく小さくなるからである。P76
資源を浪費するな。メンツで仕事をするな。
特に第一の原則からして、新製品に対する期待については常に事前にそれを書きとめておくことが必要である。
期待を事前に書きとめておくことによってのみ、あとで検討するうえで必要な信頼できる記録を用意することができる。
P80
ドラッカーはよく事前のメモを重視する。期待との違いを明らかにすることが重要なのだろう。
コスト管理の最も効果的な方法は、業績をあげるものに資源を集中することである。コストといえども独立しては存在しえない。少なくとも意図としては業績をあげるために発生している。P86
業績との対比で評価せよ。業績をあげないならば浪費である。
コスト管理の効果をあげるには、いくつかの原則がある。
第一に、コスト管理は、最大のコストに集中しなければならない。
第二に、コストはその種類によって管理しなければならない。
第三に、コスト削減の最も効果的な方法は、活動そのものをやめることである。
第四に、企業の現実を理解するには、成果をもたらす領域すべてを視野に入れなければならないのと同じように、コスト管理の成果をあげるには、事業の全体を視野に入れなければならない。
第五に、コストとは経済の概念である。
P87~88(抜粋)
コスト削減キャンペーンなどで行われるのは、コストの他への押しつけではないのか。本当に効果があるのは、その部門自体を廃止してしまうことではないのか。
しかし、そもそも企業が「適切な事業を行っているか」をいかにして知るか。「我が社の事業は何か。何であるべきか」をいかにして知るか。この問いに答えるには事業を外から見て分析することが必要となる。P114
内部だけで検討し続けても期待する答えしか出ない。それで満足してしまう。
事業とは、市場において知識という資源を経済価値に転換するプロセスである。事業の目的は顧客の創造である。P114
ただ、その顧客が何を見ているのかは、外部から見てみないとわからない。
マーケティングの8つの現実
(1)顧客と市場を知るのは、顧客のみ
(2)顧客は満足を買う
(3)競争相手は同業他社にとどまらない
(4)質を決めるのは企業ではない
(5)顧客は合理的である
(6)顧客の企業に対する関心は些細なものである
(7)決定権をもつ者、拒否権をもつ者
(8)市場や用途から顧客を特定する
P118~126
現実を見る上での問題意識は内部からスタートしていることにある。
はたして、どれだけの主婦が洗濯物の白さについて熱心に話をしているだろうか。そのような話題は主婦の話題の最下位に近い。
にもかかわらず、洗剤の広告は、白くなることばかりを繰り返す。洗剤メーカーの紹介者はみな、洗剤がどれだけ洗い落とすかが主婦の最大の関心事であり、絶えざる興味のまとであり、常に比較していることであると信じ込んでいる。もちろん、彼らがそう信じているのは、単にそれが彼ら自身の関心事であり、興味の的あるからにすぎない。
P124
日本の洗剤メーカーはドラッカーを読んでいないのだろう。思わず洗剤のコマーシャルを確認しようとしてしまった。
誰が、どこで、何のために買うのか。P128
外部からの事業の見方の三つの側面。
予期せぬものを知るための九つの問い。
(1)ノンカスタマー
 「ノンカスタマー(非顧客)、すなわち、市場にありながら、あるいは市場にあってもおかしくないにもかかわらず、自社の製品を購入しない人たちは誰か。なぜ彼らは顧客になっていないのか」
(2)金と時間の使い方
 「顧客は何を買うか。金と時間をどう使っているか」
(3)価値選好
 「顧客、あるいはノンカスタマーは、他社から何を購入しているか。それらの購入は、顧客にとっていかなる価値があるか。いかなる満足を与えているか」
(4)提供しうる価値
 「我が社の製品やサービス、あるいは我が社が提供しうる製品やサービスのうち、本当に重要な満足を提供しているものは何か。
(5)存在意義
 「いかなる状況が、我が社の製品やサービスなしでもすむようにしてしまうか、あるいはわが社の製品やサービスなしにすまさざるをえなくしてしまうか」
(6)商品群
 「顧客の考え方や経済的な事情からして意味ある商品群は何か。何が商品群をつくるか」
(7)潜在的な競争相手
 「競争相手になっていないものは誰か。それはなぜか」
(8)潜在機会
 「わが社は、誰の競争相手にまだなっていないか。わが社の事業の一部と考えていないために、わが社には見えていず、試みてもいない機会はどこにあるか」
(9)顧客の現実
 「完全に不合理に見える顧客の行動は何か。したがって、顧客の現実であって、わが社に見えないものは何か」
P129~139(抜粋)
企業が真摯な気持ちで、この問いをし続けていくことが重要なのだと思う。
顧客が事業であるのと同じように、知識が事業である。物やサービスは、企業がもつ知識と、顧客がもつ購買力との交換の媒体にすぎない。P144
物やサービスそのものが媒体であると言う。
知識は、本の中にはない。本の中にあるものは情報である。知識とはそれらの情報を仕事や成果に結びつける能力である。そして知識は、人間すなわちその頭脳と技能のうちにのみ存在する。P144
知識と情報の定義をしっかりしないといけない。
したがって、他社はうまくできなかったが、わが社はさしたる苦労もなしにできたものは何かを問わなければならない。同時に、他社はさしたる苦労なしにできているのに、わが社はうまくできなかったものは何かを問わなければならない。P149
ドラッカーはいつも問いを考えている。
現在行っていることの解釈よりもさらに重要なことは、当然行っているべきであるにもかかわらずまだ行っていないものの発見である。ここにおいても、マーケティング分析と知識分析を事業診断に重ねることによって、何が欠けているかを明らかにする。P166
当然なのに行われていないことは、たくさんある。
一つ目の欠けているものは、全盛期を過ぎたものに代わるべきものを開発する努力である。P167
企業を支えた中心的な事業にはみんなが愛着と信頼をもっているため、次を考えなくなってしまう。
二つ目の欠けているものは、機会と成功の追求である。P167
うまくいかないことには理由がある。見落としである。
三つ目の欠けているものは、知識である。P168
常に新しいものに対する知識に再定義する必要がある。
事業を成功させるには三つの保証済みのアプローチがある。
(1)利用しうる市場と知識から最大限の成果をあげるべく、あるいは、少なくとも、長期的に見て最も有利な成果をあげるべく、「理想企業」のモデルからスタートする。
(2)最大の成果をあげるべく、「機会」の最大化を図る。
(3)最大の成果をあげるべく、「人材」の最大利用を図る。
P173
保証済みのアプローチは使わない手はないはず。
人材の最大利用というアプローチにおいては、最も重要な原則は人材ならざるもの、すなわち凡庸なるものに機会を任せてはならないということである。そもそも凡庸な者には機会を利用することはできない。しかも機会にはリスクがつきものである。凡庸な者に機会を任せるよりは害をもたらさないように貴族として扶養した方が安上がりである。P182
凡庸であっても、いくつかの習慣を身につけることで役に立つはずだが、ここではバッサリ。
現在の事業の質を高めるには、よりよく行えばよい。そもそも行うべき新しいことは何か。2つの種類の機会がある。
・製品と活動をより適切なものに変えるリプレースメント。
・最大の機会を実現するイノベーション
P192
リプレースメントとは、製品の見方、提供の仕方、利用の仕方を変えるということ。
危険や弱みが事業機会の存在を教える。それらを問題から機会に転化するとき、異常なほどの成果が得られる。時にはそのような転化は、マネジメントの姿勢だけでもたらされる。P198
問題をどう捉え、どう判断するかが大きな機会となる。
事業機会は、三つの問いによって明らかにされる。
第一に、事業を脆弱なものにし、成果を阻害し、業績を抑えている弱みは何か。
第二に、事業内においてアンバランスになっているものは何か。
第三に、事業に対する脅威として恐れているものは何か。いかにすればそれを機会として利用できるか。
P198
SWOT分析も見方によって役に立つかも。
われわれは未来について、二つのことしか知らない。一つは、未来は知りえない。二つは、未来は、今日存在するものとも今日予測するものとも違う。P229
未来は予測できない。
したがって未来を築くためにまず初めになすべきことは、明日何をなすかを決めることではなく、明日をつくるために今日何をなすかを決めることである。P230
今日何をなすべきか。
イノベーションの議論において意味なく強調されている創造性なるものは問題の鍵ではない。すでにアイデアは、企業だけでなくあらゆる組織体に利用しうる以上に存在している。欠落しているのは、製品を越えて構想することである。製品やプロセスは、ビジョンを実現するための道具にすぎない。しかも、具体的な製品やプロセスは想像されることさえないのが普通である。P250
技術革新という言葉で訳してはいけない。
未来に何かを起こすには勇気を必要とする。努力を必要とする。信念を必要とする。その場しのぎの仕事に身を任せていたのでは、未来はつくれない。P254
そのためにはビジョンを信じていなければいけないし、前進する意志を持たなければいけない。
事業についての有効な定義をもてないことは危険信号である。市場や顧客と無関係に事業を行っていることになる。さらには共通の知識や労力の相乗効果を実現する真の多角化ではなく、知識や労力とは関係のない分散を行っていることになる。P263~264
多くの大企業では多角化という分散を行っていないか。
誰にとっても、優先順位の決定はそれほど難しくない。難しいのは劣後順位の決定、なすべきでないことの決定である。延期は放棄を意味する。一度延期したものを復活させることは失敗である。このことが劣後順位の決定をためらわせる。P267
なすべきでないことを業務の中心としている場合が多い。
したがって、あらゆる新しい機会について、「もし完全に失敗したとき、起こりうる最悪の事態は何か。わが社は破滅するか。永久にハンディを負うことになるか」「つまりそれは、わが社にとって負えるリスクか、負えないリスクか」を問わなければならない。P276
リスクには負えるリスクと負えないリスクがある。
リスクを小さくすることではなく、機会を大きくすることに焦点を合わせる。P277
正しい選択の必要条件の一つが、これである。
事業をマネジメントせずに財務的な操作だけに頼るならば、必ず失敗する。P287
財務が目的化してしまっては終わりだ。
新しい事業のための提案はすべて、企業全体に焦点を合わせなければならない。その事業自身の成果を知るだけでは十分でない。企業全体としての経済的な能力と成果に対し、何を加えるかが問題である。P296
「企業は、その目標とするものを明確にし、それらを明示し、知識労働者を鼓舞しなければならない」P298
目標が明確で共通目的となっているか。
知識労働者を監督することはできない。知識労働者は自ら方向付けを行い、自ら管理し、自らを動機づける。しかし彼らといえども、自らの知識と仕事がいかにして企業全体に貢献するかを知らなければ、それらのことを行うことはできない。P298
貢献している実感が知識労働者への動機づけとなる。
組織に働く知識労働者の三つのコミットメント
・自らの知識と努力をして経済的な成果に貢献させるコミットメント。
・集中するコミットメント。(自分自身を機会と成果に割り当てる)
・自らの職務と仕事、および企業としての経済的課題を、体系的、目的的、組織的に遂行するコミットメント。
P304抜粋
果たすべきコミットメントである。