居酒屋で経営知識
83.仕事を楽しむ
【主な登場人物】 ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている 黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み 由美:居酒屋みやびの元看板娘 黒沢の姪 雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した 大森:みやびの常連 地元商店街の役員 近藤:みやびの常連 建設会社顧問 亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト 原島:ジンの高校の大先輩。新社長としてジンにアドバイスを求めている。 新田:大森さんの紹介で知的資産経営を指導している。行政書士
「へい、いらっしゃい」
「あ、北野先生。お待ちしていました」
新田さんが先に着いていた。
「新田さん、お待たせしました。ところで、その先生というのはやめましょうよ」
「その方が私も助かります。でも、我々行政書士の世界でも、そちらの中小企業診断士の世界でも、お互いを先生って呼んでませんか?」
「確かに。そう呼ぶように指導している人もいますからね。でも、お互いに呼び合うなんて、正直気持ち悪いですよ。少なくても、我々は学び会う仲間なんですから、さん付けでいきましょうよ」
「同感です。北野さんは、ビールでいいんですよね」
「もちろんです。亜海ちゃん・・・あ、ありがとう」
「早ッ。北野さんの入る姿を見ると既に準備しているって感じですね」
「えへへ。ジンさんがカウンターに座る前に出せれば私の勝ちって毎日用意してるんですう」
「亜海ちゃん。でも、時々、冷酒にしたりするからね」
「そこも、半分は賭よね」
外れたら、そのビールはどうするの、と聞こうと思ったけどやめておこう。
「それじゃ、新田さん、乾杯!」
「フーッ。落ち着きました。最近の経済状況からすると北野さんの会社も楽じゃないんじゃないですか?」
「ははは。楽して儲かる商売なんて無いですよ。ただ、緊張感があっても、楽しんで仕事ができるかどうかです」
「楽、じゃなく、楽しむっていうことですか?でも、なかなか楽しむというのも余裕がないと難しいですよね」
「楽しいかどうかは、自分が夢中になれるかどうかにかかってますから、逆に余裕を持っている状態とは言えないですね。好きなことをやっている時って、子供みたいに集中しているから時間を忘れるじゃないですか」
「ええ、まあそうですね」
「やろうとしていることが好きで、更に、行こうとしているお客さんが大好きだったら、楽しいですよね。たとえ、忙しくても」
「なーるほど。確かにそうですね。楽しむ、ですか。私も、そう思えるような仕事をしたいですね」
「簡単ですよ(^_^)b毎日、楽しいって唱えていればいいんです。暇があったら、楽しい、楽しいってつぶやくんです。それだけで、楽しくなりますよ」
「え?ええーっと。そんなものですかねえ」
「疑いの眼差しですね、新田さん。まあ、一度騙されたと思ってやってみてください」
「まあ、北野さんが言うなら、チャレンジしてみますか」
「コーチングなどで使われるもののアレンジですよ。自分の無意識をコントロールするには、単純に思い込むことが必要なんです。だから、楽しいと考えるときは、楽しくなっている自分をどんどん想像するのがいいです。自分が変われば、周りも変わってきますから」
(続く)
《1Point》
・楽しい
経営用語ではありません、もちろん。
今回の話は、会社での様子を見直してみたときに改めて考えたことです。
会社の仕事は、楽しいものじゃなく苦労するものだと思い込んでいませんか。
無意識のコントロールとか、自己暗示とかいうものと同じかもしれませんが、単純に「○○は楽しい」と口に出してみてください。
(82)同業者とのつながり←
→(84)クロス・ライセンス