居酒屋で経営知識

17.中小企業診断士1次直前対策(3)

【主な登場人物】
ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている
黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み
由美:居酒屋みやびの元看板娘 黒沢の姪
雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した
亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト
原島:ジンの高校の大先輩。大企業の関連企業社長

「へい、いらっしゃい」

「あぢーよー。亜海!生だ、生」

「はーい」

「ジンさん、鳶野さん、おそろいですか」

「今日は、原島さんの会社で診断士の直前対策の最終回をして来たんですよ」

「なーるほど。今週末って言ってましたね。受験生は、大変だ」

「去年合格した自分を誉めたいねえ」

「鳶野さんもやれば出来るということを証明しましたからね」

「なんか大将に茶化されているような気がするなあ」

「滅相もありませんよ。触らぬ神に祟りなし・・・」

「あ、やっぱり。大将の責任は亜海にとってもらうか。お仕置きだあ」

「>*0*<キャア。鳶野さんのエッチ!」

「こら。まだ何もやってないだろ。まったく。電車の中だったら、そのまま鉄道警察に連れて行かれそうだよ」

「はい、生ビールお待ちでした」

「雄二。遊んでないで、ほら、お疲れさん。乾杯」

「うまい!」

「今日は、ローマ字略語ばっかりだったから大変だったろう?」

「あ、それは文句言おうと思ってたんだ。俺が、略語が苦手だっていうのに、略語ばっかり持って来やがったからな」

「たぶん、由美ちゃんがあいうえお順に並べたから、ローマ字だけが残ったんだろうな」

「由美か。あいつ、絶対わざとだな」

「へえー。俺に弱点はないって豪語していたのはどこのどなたかしら?」

「ワッ!由美、いつの間にそこにいた」

「今日は、厨房手伝おうと思って奥の休憩室で着替えしてたの」

「今日は、宴会がフルに入ってるんですよ。それも、遅い時間に大人数が来るんで手が足りなくなりそうなんですよ」

「みんな、暑気払いですかね」

「ありがたいことですよ」

「それで、鳶野さんの講義はどうだったの」

「ま、これであいつらは全員合格だな」

「そんな、1回だけの講義で合格なんかするか」

「細かいこと言うな、ジン。でも、結構わかりやすかったろう?」

「やっぱり、経営者になると違うなとは思ったよ」

「へえー。私も聞いてみたかったな」


「試験本番まで、あと3日かな。ちなみに、自分は、去年合格したんだけど、ここまでくると焦っても仕方がないと、それまで自分で作ったキーワードノートを何度も見直したくらいで本番に突入したと思うよ。今日のキーワードは、特にローマ字略語なのですぐに思い出せなかったら、間違いなく出ると思って取り組むように」

【ECRS】

改善の4原則と言って、改善の手法として捉えられますが、問題解決の検討にも使えるものでもあるので覚えておいて損はないと思います。

 E:(Eliminate)排除、無くせないか、本当に必要なものか
 C:(Combine)統合、複数のものを一緒にできないか
 R:(Rearrange)交換、やり方や順番を変えてみる
 S:(Simplify)単純化、簡素化ができないか

【GMROI】

これは、コンビニなどの事例だと出やすいので必ず覚えておいてください。

GMROI(Gross Margin Return On Inventory Investment)
 商品投下資本粗利益率

GMROI(%)=(売上総利益÷平均在庫高)×100
 *平均在庫高は原価ベースでありことに注意。

 また、この式を分解することも視点として重要です。
GMROI=(売上総利益/売上高)×(売上高/平均在庫高)
×100
     =粗利益率×商品回転率×100
つまり、粗利益率を高めるのか、商品回転率を高めるのかとい
う小売店の戦略的視点となります。

この分解した視点は、そのまま、詳細分析と改善提案に使えます。つまり、診断士の2次試験では回答のキーポイントとなることが予想されますので、公式は分解することを忘れないようにしましょう。

【KPI】Key Performance Indicator

重要業績評価指標を指す略語です。

バランススコアカードで使われるようになって注目されたようですが、組織の目標を達成するための重要な業績評価の指標を意味します

重要な点としては、目標との因果関係が明確な指標を選定することです。

また、あまり多くの指標を使わないこと、外部環境の変化に応じて修正する必要があることがポイントと言われています。

【MBO】
 マネージングバイアウト(Management Buyout)

会社の経営陣が所属している企業や事業部門を買収して独立することを指します。その際の資金として金融支援(=買収をしようとする企業の資産や将来のキャッシュフローを担保として投資ファンド等からの出資・金融機関からの借入れなどをおこなうこと)を受けることが多いです。

最近、ニュースでもこの言葉が良く出るので要注意です。

 TOBとの違いは、企業内部の経営陣等が買収するため、一般的には友好的な買収となり、一部事業買収である場合、「のれん分け」と見ることもできる。

【PPM】

 プロダクト・ポートフォリオ・マトリックスの略。

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が開発した複数事業を管理する手法。

自社の製品・事業を「相対的市場占有率(シェア)」と「市場成長率」の二つの評価軸の「高」「低」で分類して検討するものです。
・シェア(低い)×成長率(高い)=問題児
・シェア(高い)×成長率(高い)=花形
・シェア(高い)×成長率(低い)=金のなる木
・シェア(低い)×成長率(低い)=負け犬

という分類となり、金のなる木の資金を問題児に投入し、花形製品を育てるというような経営資源の配分を検討する戦略策定の手法として利用されます。

SWOT分析

目標を達成するために意思決定を必要としている組織や個人の、プロジェクトやベンチャービジネスなどにおける、強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) を評価するのに用いられる戦略計画ツールの一つ。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

 S:(Strengths) 自社にとっての強みとは何か、
 W:(Weaknesses) 自社にとっての弱みとは何か
 O:(Opportunities) 機会となるようなものは何があるか
 T:(Threats) 脅威となるようなものは何か

戦略的思考の定番としては、自社の強みが活かせる外部環境の
機会に経営資源を集中することと言われています。
2次試験では、これが基本ですので、必ず使います。

【SCM】サプライチェーンマネジメント

調達から生産や販売、物流などの業務プロセスを一つの鎖として管理するマネジメント手法です。

中心的な役割を果たすのが取引先との連携であり、情報システムを活用して、需要状況や在庫の情報を共有することで、最適な供給を行うことがポイントとなります。


「みんな受かってくれればいいわね」

「原島社長も気合いが入っているから、1次試験はみんないけるんじゃないかな。後は、2次対策がどこまで出来るかだろうな」

「そうよね。2次だけは、絶対的な合格法ってないような気がするから」

「ジン。俺たちで絶対にあいつらを診断士にしてやろうぜ。そのためにも、1次終わったらすぐ2次対策のアドバイスをした方が良いだろう。俺たちも、ジンに徹底的に脅かされて必死に過去問に取り組んだのが1次試験の次の日だったからな」

「そうだったわ。月曜なのに、ジンさん、休んでくれたのよね」

「そうだな。日曜日の試験後にみんなを集めるように原島さんに言ってみよう」

「うん。それがいい。ハッパをかけて、その上で飲ませてやろう」

「そうだな」

(続く)


《1Point》
 1次試験は今週末ですね。

 略語は似たようなものがたくさんありますが、この際、略語だけでもおさらいしてみるのも一つの手です。

 後は、自分を信じて、当日は絶対に諦めないことが重要です。

【ECRS】
【GMROI】
【KPI】
【MBO】
【PPM】
SWOT分析
【SCM】

 ちなみに、1次試験は、課目によっては十分早く終わってしまうものがあります。もうこれ以上は考えても変わらない、マーク間違いもないと自信があれば、時間前に部屋を出て、次の試験の最終確認をするのも一つです。

私は、2科目くらいで早めに出たような記憶があります。

ただし、慌てて出て、単純な転記ミス、名前や受験番号のミスをしないように。

今年は、仕事が入りそうだったので試験監督は希望しませんでした。

自宅から応援しています。

がんばってくださーい(^^)/