「ドラッカー わが軌跡」及び「傍観者の時代」

(8) ドラッカー わが軌跡

自ら書いた事実上の自伝
I.失われた世界
 1章:おばあちゃんと二〇世紀の忘れ物
 2章:シュワルツワルト家のサロンと「戦前」症候群
 3章:エルザ先生とゾフィー先生
 4章:フロイトの錯誤とその壮大な試み
 5章:トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラーの物語
II.ヨーロッパの人々
 6章:ポランニー一家と「社会の時代」の終焉
 7章:キッシンジャーをつくった男クレイマー
 8章:怪物ヘンシュと小羊シェイファーの運命
 9章:反体制運動家ブレイスフォードの挫折
 10章:マーチャント・バンクの世界
 11章:フリードバーグ商会の愛人
III.アメリカの日々
 12章:ヘンリー・ルースと『タイム』『フォーチュン』
 13章:テクノロジーの予言者、フラーとマクルーハン
 14章:プロの経営者、アルフレッド・スローン
 15章:お人好しの時代のアメリカ

(17)ドラッカー名著集12 傍観者の時代 (ドラッカー名著集 12)

  (同上:章立て等も同じ)
ドラッカーの言葉該当ページと独り言
この60年間私が説いてきたものは、コンセプトとしての社会の多様性だった。関心は一人ひとりの人間の方にあったものの、私が得意とするものはコンセプトの方だった。ということは、本書こそ、ついに私が書きたくて書いた本だったということである。これは、人についての本である。(帯の言葉)
歴史は人が作っていると言うことを実感できる。ドラッカーという人がどうしてここまで観察眼に優れているのか、その要因があまりに個性的で、時代を作った張本人達だったと言えるのかもしれない。
ソクラテスは、教えることのできるのは学ぶことについてであり、何かを学ぶのは生徒であるとした。大事なことは学ぶことであり、教えることであるとすることは思い上がりであるとした。P79(エターナル版:以下同じ)
学校の改革が必要だ。
ところが西洋では、教え方の重視のあまり、ソクラテスの英知、すなわち教えることは天賦のものであり、学ぶことは方法論であるとの洞察がすっかり忘れられてしまったのだった。P80
日本においても然り。
少なくとも市場は、材の交換と資本の配賦のみに使うべきであって、土地と労働の配賦に使ってはならなかった。P149
不動産市場でバブルが弾け、最近では労働市場が人を貧しくしているかもしれない。
われわれは、個のために、競争、リスク、多様性という代償を払う用意はある。事実われわれは、そのような社会においてのみ、より大きな善ではなく、より小さな悪を目指すことができる。P155
記憶に残り、かつ、明確にはわからなかった言葉だ。
悪が平凡なことはありえない。往々にして平凡なのは、悪をなす者のほうである。P199
ナチスのアイヒマンについて言われた「悪の平凡さ」を否定した言葉。
ヘンシュのように、自らの野心のために悪を利用しようとするとき、人は悪の道具とされる。そしてシェイファーのように、より大きな悪を防ぐために悪を利用しようとするとき、人は悪の道具とされる。
(中略)
しかし、ようやく私は、おそらく最大の罪は、これら昔からの二つの悪ではなかったと考えるに至った。
P200
最大の罪は、現実を直視することを拒否し、無関心でいた者だという。
ところが優れたビジネスマンは、優れた科学者や優れた芸術家と同じように、ヘンリーおじさんと同じ頭の動きをする。最も個別的、最も具体的なことから出発して、一般化に達する。P238
個別の問題にばかり取り組んでいると全体が見えなくなってしまう。
まさにプラトンのいうように、論理の裏付けのない経験はおしゃべりであって、経験の裏付けのない論理は屁理屈にすぎないのである。P238
コンサルにとって重要な示唆であろう。
しかし、明らかにあの頃、すでに彼は、「メディアはメッセージなり」と信じていたに違いない。あるいは少なくとも、メディアはメッセージを規定すると信じていたに違いなかった。P293
マーシャル・マクルーハンとの初めての出会いを回想して言っている。
マクルーハンの洞察のうち最も重要なものは、「メディアはメッセージである」ではないのである。「テクノロジーは道具ではない。人の一部である」なのである。P296
深い。
物事を成し遂げるのは、集中する者、モノマニアックである。他の者、私のような者は、楽しみは多いかもしれないが、自らを浪費するだけに終わる。P299
単一の使命をもつ者も必ず成功するわけではない。でも、世の中に衝撃を与える可能性は高い。
「本当の大量生産はフォードのいう大量生産とは違う。それは組立ラインのことではない。組立ラインは道具にすぎない。大量生産とは頭を使って生産することだ。」P320
GMのキャデラック事業部長ドレイスタットの言葉
すなわち、賃金や昇進などの労働への対価は、ハーツバーグが名づけた衛生要因にすぎないということだった。それらのものの不満はマイナスに働くが、それらのものへの満足はさしたるインセンティブとはならない。成果、貢献、責任こそ、動機づけの最たるものであるということだった。P328
これは、まさしく実感することである。
「孤独が好きな人もいる。私はそうではない。まわりに人がいたほうがよい。しかし、職場に友人をもたないことは私の務めだと思う。公正でなければならない。好き嫌いがあることさえ知られてはならない。どうしたら、彼らがよい仕事ができるかを考えることだけが、私の仕事だ。仕事のやり方や人柄についていうことは、私の仕事ではない」P336
GMのアルフレッド・スローンの言葉だ。覚悟をもって自分の役割を果たそうとしている。
責任なき権限に正統性はなく、権限なき責任にも正統性はない。いずれも専制を招く。P341
まさしく組織の原則だ。これもスローンの言葉。